最新記事

日本企業

タカタ民事再生法申請へ エアバッグ事故で死者16人、負傷者180人

2017年6月16日(金)13時12分

6月15日、欠陥エアバッグの大規模リコール問題で経営が悪化しているタカタが、早ければ来週にも民事再生法の適用を東京地裁に申請する方向で準備に入った。2014年9月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

関係筋によれば、米国子会社のTKホールディングス(ミシガン州)も日本の民事再生法に当たる米連邦破産法11条の適用を申請する方針。タカタは出資を伴う支援企業として中国・寧波均勝電子<600699.SS>傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティ・システムズ(KSS)と協議を続けているが、日米での適用申請前にKSSとの最終合意に至らない可能性もあるという。

再建計画ではKSSがタカタのシートベルトなど主要な事業を総額2000億円弱で買収して新会社を設立。一方、リコール費用などの債務は旧会社に残し、債権者への弁済を担う。部品の安定供給を維持するため、取引金融機関はタカタの下請け会社などへの資金支援を続ける。

タカタ製エアバッグのリコール問題をめぐっては、関連事故で米国など海外で死亡者が16人、負傷者が180人超に上っている。リコール対象は世界で1億個規模に膨らみ、費用の総額も1兆円を超える見通し。

タカタはこれまで不具合の責任の所在が特定できておらず自動車メーカーとの費用負担の割合を「合理的に見積もるのは困難」としていた。そのため、ホンダ<7267.T>など国内外の自動車メーカー各社はリコール費用の大半を負担しており、今後は同費用を債権として届け出る予定だ。

タカタは昨年2月、弁護士などからなる外部専門家委員会を発足させ、再建計画の策定を委託。同委員会と最大債権者である自動車メーカーは、法的整理を前提としたKSS主導の再建策を練っていた。

しかし約6割の株式を保有する高田重久会長兼社長らタカタ創業家は、法的整理に踏み切れば下請け会社からの部品供給が滞るとして、日本のタカタについて裁判所の関与しない当事者間の話し合いによる私的整理を主張し続けてきた。

ただ、私的整理で大口債権者と合意できたとしても、事故の被害者などからの損害賠償請求による財務悪化は避けられず、創業家も法的整理を受け入れざるを得なくなったとみられる。

タカタの2017年3月期の連結決算は最終損益が795億円の赤字(前期は130億円の赤字)で3年連続の最終赤字だった。自己資本は約302億円。自己資本比率は前期の27.5%から17年3月期は7.0%と急減していた。

(Jessica DiNapoli,David Shepardson, 白木真紀)

[東京/ニューヨーク/ワシントン 16日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は小幅に続落、ドル安/円高が一服し底

ビジネス

米ユナイテッドヘルス、2024年幹部警備費用は17

ワールド

ローマ教皇、最期まで公務継続 療養中も指導者として

ワールド

ロシア・ウクライナ、二国間協議に前向き姿勢 実現な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 5
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 6
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 7
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 8
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 9
    なぜ? ケイティ・ペリーらの宇宙旅行に「でっち上…
  • 10
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中