最新記事

アメリカ社会

ペンス副大統領の米大学卒業式スピーチ 学生が抗議で退出

2017年5月22日(月)13時03分

5月21日、米インディアナ州のカトリック系名門私立大学で行われた卒業式で、卒業生数十人が、来賓として出席したペンス副大統領(右)のスピーチに抗議して式場を退出する一幕があった。写真はホワイトハウスで4日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

米インディアナ州のカトリック系名門私立大学で21日に行われた卒業式で、卒業生数十人が、来賓として出席したペンス副大統領のスピーチに抗議して式場を退出する一幕があった。副大統領は、言論の自由の抑圧に警鐘を鳴らす内容のスピーチを行った。

ノートルダム大学のフットボール競技場で行われた卒業式には、卒業生やゲストなど数千人が参加。ペンス副大統領がスピーチを始めると数十人が立ち上がり、一部の出席者の冷やかしを浴びながら、式場を後にした。

退出した卒業生の中には、卒業式用の伝統的な角帽に抗議のメッセージを貼り付けた人もいた。学生の1人は、ベトナム戦争で広まった抗議の表現である逆さまの米国旗に、トランプ大統領が昨年の選挙戦で使ったスローガンを皮肉って「われわれはまだ偉大にならないのか」と書き込んでいた。

この卒業式スピーチで、ペンス副大統領は大学キャンパスでの言論の自由とは何かを巡る問題を正面から取り上げた。トランプ氏の当選後、この問題は多くの大学で激しい論争を巻き起こしている。

「長年の伝統であるキャンパスでの言論の自由に対して、非寛容と抑圧が進んでいることは、全てのアメリカ人の自由を危うくするものだ。こうした傾向に沈黙してはならない」と、ペンス氏はスピーチで訴えた。卒業式でペンス氏がスピーチすることに反対する動きを踏まえた発言とみられる。

全米の大学では最近、保守系政治コメンテーターのアン・コールター氏や、保守系ニュースサイト「ブライトバート」の元編集者、ミロ・イアノポウラス氏などの保守系論客を講演会などに招くことへの抗議が噴出しており、暴力的な抗議活動に発展した大学もあった。安全上の懸念を理由に、こうした講演会などをキャンセルした大学もあった。

ノートルダム大学で抗議の退出を呼びかけた学生たちは、トランプ政権の一員としてペンス氏が推進する政策や、ペンス氏がインディアナ州知事時代に提案した、一部イスラム圏の国からの移民受け入れを停止する政策への反対を表明したかったと述べた。移民の受け入れ停止は、裁判所に差し止められた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、米韓首脳会談の成果文書に反発 対抗措置示唆

ビジネス

世界の投資家なお強気、ポジショニングは市場に逆風=

ワールド

ガザ和平計画の安保理採択、「和平への第一歩」とパレ

ワールド

中国の若年失業率、10月は17.3%に低下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中