ペンス副大統領の米大学卒業式スピーチ 学生が抗議で退出
5月21日、米インディアナ州のカトリック系名門私立大学で行われた卒業式で、卒業生数十人が、来賓として出席したペンス副大統領(右)のスピーチに抗議して式場を退出する一幕があった。写真はホワイトハウスで4日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)
米インディアナ州のカトリック系名門私立大学で21日に行われた卒業式で、卒業生数十人が、来賓として出席したペンス副大統領のスピーチに抗議して式場を退出する一幕があった。副大統領は、言論の自由の抑圧に警鐘を鳴らす内容のスピーチを行った。
ノートルダム大学のフットボール競技場で行われた卒業式には、卒業生やゲストなど数千人が参加。ペンス副大統領がスピーチを始めると数十人が立ち上がり、一部の出席者の冷やかしを浴びながら、式場を後にした。
退出した卒業生の中には、卒業式用の伝統的な角帽に抗議のメッセージを貼り付けた人もいた。学生の1人は、ベトナム戦争で広まった抗議の表現である逆さまの米国旗に、トランプ大統領が昨年の選挙戦で使ったスローガンを皮肉って「われわれはまだ偉大にならないのか」と書き込んでいた。
この卒業式スピーチで、ペンス副大統領は大学キャンパスでの言論の自由とは何かを巡る問題を正面から取り上げた。トランプ氏の当選後、この問題は多くの大学で激しい論争を巻き起こしている。
「長年の伝統であるキャンパスでの言論の自由に対して、非寛容と抑圧が進んでいることは、全てのアメリカ人の自由を危うくするものだ。こうした傾向に沈黙してはならない」と、ペンス氏はスピーチで訴えた。卒業式でペンス氏がスピーチすることに反対する動きを踏まえた発言とみられる。
全米の大学では最近、保守系政治コメンテーターのアン・コールター氏や、保守系ニュースサイト「ブライトバート」の元編集者、ミロ・イアノポウラス氏などの保守系論客を講演会などに招くことへの抗議が噴出しており、暴力的な抗議活動に発展した大学もあった。安全上の懸念を理由に、こうした講演会などをキャンセルした大学もあった。
ノートルダム大学で抗議の退出を呼びかけた学生たちは、トランプ政権の一員としてペンス氏が推進する政策や、ペンス氏がインディアナ州知事時代に提案した、一部イスラム圏の国からの移民受け入れを停止する政策への反対を表明したかったと述べた。移民の受け入れ停止は、裁判所に差し止められた。