最新記事
健康

運動のアンチエイジング効果は、細胞レベルで体を若返らせる

2017年5月12日(金)15時15分
ハンナ・オズボーン

高いレベルの運動を継続すれば細胞を若返らすことができる jacoblund-iStock.

<ほどほどの運動では効果はない! 1日30~40分のランニングを続けることで、年齢より10歳下くらいまで細胞の若さを維持できることが明らかに>

「永遠の若さを保つ」という話ではないが、活発に運動することで老化の進行を遅らせ、実年齢より10歳下程度の若さを保つことができることが、科学的に明らかになった。アメリカで5000人以上の成人を調査した研究で、日常的に運動をする人は、ほとんど動かない人や、やや活動的に過ごしている人たちと比較して、細胞レベルで若いことがわかった。

アメリカの月刊誌「予防医学」の4月号に掲載されたこの研究は、米保健福祉省の公的機関が実施した健康と栄養に関する調査に1999年から2002年にかけて参加した、5823人の健康データを精査した。参加者は年齢、性別等の統計情報に加えて、どれくらいの頻度で運動するか、といったライフスタイルについて回答している。

この研究では、参加者のテロメア(細胞の老化の程度を示す、染色体の末端部位)も観察している。テロメアは染色体の末端部を保護する役割があって、ちょうど靴ひもがほつれないように付いているプラスチックの筒のようなもの。細胞が分裂するごとにテロメアは短くなり、最終的に染色体を保護できなくなるため、細胞は老いて死ぬ。これが老化だ。テロメアの短縮は、癌や脳卒中、心臓血管の病気など老化に伴う様々な病気に繋がる。

【参考記事】マラソンでランナーの腎臓が壊される

研究でブリガム・ヤング大学のラリー・タッカー教授(運動科学)は、テロメアの長さと身体活動のレベルを比較した。その結果、日常的に活発な運動をする人とそうでない人との間に、著しい違いが生じていることがわかった。

「年齢が40歳だから、生物的にも40歳ということではない」とタッカーは声明で述べている。「実年齢より若く見える人たちがいることは誰でも知っている。身体的に活動的な人は、生物的な老化も抑制される」

タッカーによると、高レベルの身体活動を行っている人は、ほとんど動かない人より9歳、「実年齢と比較した若さ」があった。やや活動的な人と比較しても、7歳は「若かった」。ここで言う高レベルの身体活動とは、一日に30~40分のランニングを、少なくとも週5日は行うことと定義している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

自動車関税に伴う値上げ「全く気にしない」=トランプ

ビジネス

UBSグローバル、S&P500種の25年末目標を6

ワールド

トランプ氏、5月中旬にサウジ訪問を計画 2期目初の

ビジネス

日中韓貿易相会合、地域貿易の促進で合意 トランプ関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中