最新記事

THAAD

韓国のTHAAD配備、中国は未知数の能力に懸念か

2017年4月4日(火)12時07分

4月4日、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に強固に反対する中国の姿勢について専門家らは、中国の核関連技術を探知する能力が備わっているかどうかについて中国側が把握していないことが、神経をとがらせる本当の理由だと分析している。写真は都内の航空ショーに出展されたTHAADの模型。昨年10月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に強固に反対する中国の姿勢について専門家らは、中国の核関連技術を探知する能力が備わっているかどうかについて中国側が把握していないことが、神経をとがらせる本当の理由だと分析している。

THAAD配備は米中関係にとって大きな懸案事項となっており、今週予定される米中首脳会談でも議題に上るとみられる。

米国側は、THAADは北朝鮮の脅威に対抗するための防衛システムであると強調。しかし中国の一部の専門家は、中国の核抑止力を阻害する可能性があると警戒している。

中国の核抑止力を専門とする張宝輝氏(香港在勤)は「THAADの能力について正確に把握している人が中国に1人もいないことが問題の一因でもある」と指摘。

「THAADの能力の全容は明らかにされておらず、中国の専門家の間では知識の水準にばらつきがある。彼らの知識は誤っているかもしれないが、少なくとも懸念は本物で、最悪のケースを想定せざるを得ない」と述べた。

中国は公式見解として、THAAD配備は地域の安全保障のバランスを損なうとして反対している。

中国の当局者らは、THAADの迎撃ミサイルよりも、探知距離が2000キロともされるTHAADレーダーについて懸念を示している。

THAAD配備を巡っては、米中だけでなく中韓関係にも悪影響が及んでいる。

中国当局はTHAAD配備への用地提供に合意した韓国ロッテグループの国内店舗を相次いで営業停止処分にした。韓国の歌手や俳優らはさまざまな手段で中国での公演を阻止されている。一方、韓国を訪れる中国人観光客も急激に減少している。

北京にある精華大学の李彬教授は最近記した文書の中で、THAADレーダーによって米軍は他の装備では入手できなかったデータを得ることが可能になったため、中国の核戦略が阻害されることになると指摘。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中