【写真特集】鮮明に切り取る戦後ソウルの世相
『ソウル、1956-63』
<朝鮮戦争後のソウルでは、貧しさの中で人々が懸命に復興へと歩み始めていた>
貧しさの中にのぞく、人々のたくましさや前向きさ――韓国社会のそんな一面がうかがえるのが、写真家ハン・ヨンス(1933~99)が朝鮮戦争後のソウルを撮影した写真。国際写真センター主催の写真展『ハン・ヨンス ソウルの写真1956-63』(米ニュージャージー州マナ・コンテンポラリー)で展示されている作品群だ。
ハンは生前、国外ではさほど知られた存在ではなかった。だがソウルが戦争から立ち直って急激に近代化・都市化する様子を絶妙な構図とタイミングで鮮やかに切り取った作品は、今や世界的に認められている。
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キュレーターで写真批評家のソン・スジョンによれば、彼は国内では商業カメラマンとして高い人気を誇った人物。同時に当時の社会情勢を伝える写真も数多く残し、「朝鮮戦争で荒廃して暗い空気が漂うソウルの『近代』の世相を切り取ったとして評価されている」と言う。
近代的ビルと古い建物が混在する街で、人々はどう暮らしていたのか。社会進出を始めた女性の立場は、どう変化していったのか。それらをリアルに伝える写真は、芸術であると同時に貴重な歴史の記録でもある。