「トランプ円高」が加速 朝鮮半島リスクとドル高けん制で
一方、朝鮮半島有事で日本が巻き込まれた場合、円高になるか円安になるかは見方が分かれている。1)投機の円買い、2)円キャリートレードの巻き戻し、3)日本勢の対外資産取り崩し、という円高ルートが考えられる。ただ、日本国内に資産を置くリスクが意識されれば、円安圧力が強まるとの指摘もある。
この先もイベント目白押し
さらに向こう1カ月の間には「米為替報告書」公表、日米経済対話など、米国を巡って円高材料になりかねないイベントが目白押しだ。
米為替報告書については、トランプ大統領が中国を為替操作国に認定しない方針を示したことで「日本やドイツが操作国認定されるリスクは後退した」(国内証券)とみられている。
だが、日米経済対話については「一時的に対立相手を設けて攻撃することで存在感をアピールする手法が持ち込まれるなら、メイントピックは高い確率で通貨・通商問題になり得る」(みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との指摘もある。
ドル/円のリスク・リバーサル(RR)25%デルタは、一カ月物がミドルレートで2.625%のドル・プット・オーバーとなった。昨年6月の英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票付近、同11月の米大統領選挙付近に次ぐ傾きだ。
不確実な要因が多過ぎるため、明確な下値めどが見つけにくくなっている。ただ、地政学リスクの高まりに種々の円買い要因が重なれば、ドルは米大統領選開票前の水準の105円台まで下げ余地があるとの見方も出ている。
(杉山健太郎 編集:伊賀大記)