最新記事

コーヒー

じっくりと寝かせてコクを引き出すエイジド・コーヒーが密かなブームに

2017年3月22日(水)17時00分
松岡由希子

JohnnyGreig-iStock

一般に、コーヒーは、豆が新鮮であればあるほど、美味しく淹れられるものとされているが、近年、ワインやチーズのように、一定期間寝かせることで風味や香りを高めるエイジド(熟成)・コーヒーが、じわじわと人気を集めている。

エイジド・コーヒーは、古くて、新しいコーヒースタイルだ。コーヒーが欧州に伝来した16世紀当時、中東イエメンやインドネシアなどで収穫されたコーヒー豆は、長い航海を経て、欧州に運ばれていた。その間、木製の船体や潮風に触れたり、温度や湿度が変化したりすることによって、より深く、豊かな味わいとなったコーヒー豆は、欧州で人気を集めたという。

しかし、スエズ運河の開通などによって海路が大幅に短縮され、新鮮なコーヒー豆の供給量が増えるにつれて、消費者の嗜好も次第に変化し、現代に至るまで、新鮮なコーヒー豆が主流となっている。昨今、欧米や米国を中心に広がるエイジド・コーヒーのトレンドは、数世紀ぶりの"リバイバル"といえよう。

【参考記事】超有名レストラン「ノーマ」初の姉妹店はカジュアルに進化

熟成に適したコーヒー豆は、酸味の少なく、しっかりと重みのある種類のものに限られている。常時モニタリングし、定期的に回転させて水分量を調整しながら、6ヶ月から3年程度、じっくりと寝かせることで、独特のうまみやコク、甘み、まろやかさが生まれるそうだ。

近年、大手コーヒーチェーンや食品メーカー、コーヒー豆焙煎専門店など、エイジド・コーヒーを扱う事業者が増えてきた。

スターバックスでは、2017年3月6日、ウィスキー樽で熟成させたコーヒー豆「Starbucks Reserve Whiskey Barrel-Aged Slawesi」を、米シアトルの焙煎工場兼テイスティングルーム「スターバックスリザーブロースタリー&テイスティングルーム」で限定発売。

エスプレッソ抽出システム「ネスプレッソ」でも、コロンビアで2014年に収穫されたアラビカ種の熟成エイジド・コーヒー「SELECTION VINTAGE 2014」を販売している。

また、米オレゴン州ポートランドの「ウォーター・アベニュー・コーヒー・ロースタリーズ」は、オーク樽で熟成させたスマトラコーヒーやピノ・ノワール樽で熟成したエルサルバドルコーヒーを販売するコーヒー焙煎業者としてコーヒー愛好家の間で有名だ。

日本でも、近年、熟成肉や熟成魚、熟成米など、食材のうまみを引き出す手法として、熟成が改めて注目されている。このような食のトレンドとも連動し、熟成コーヒーへのニーズも少しづつ広がりそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

豪首相、米相互関税に「友好国の行為でない」 報復措

ビジネス

国外初の中国グリーン債発行に強い需要、60億元に応

ビジネス

トランプ関税で影響の車両に「輸入手数料」、独VWが

ワールド

米関税「極めて残念」と石破首相、トランプ大統領に働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中