最新記事

日中関係

中国、森友学園問題をトップニュース扱い!

2017年3月21日(火)06時00分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

森友学園・塚本幼稚園 Ha Kwiyeon-REUTERS

中国の中央テレビ局は森友学園問題を盛んに報道し、今ではトップニュース扱いだ。人民日報や新華社などのウェブサイトも転載。「背後に極右団体・日本会議」があるとして、安倍政権の右傾化批判の材料に。

中央テレビ局CCTVニュースでラインアップの中に!

3月に入ってから、中国の中央テレビ局CCTVは安倍政権の背後には「極右団体・日本会議」があるとして盛んに報道を繰り返していた。16日に籠池氏が「安倍総理による100万円献金」と発言してからは、その勢いが加速し、3月19日夕方のニュースからは、ニュースの主たる項目を最初に並べるラインアップでは、習近平国家主席とティラーソン米国務長官との会談や張高麗国務院副総理の中国発展ハイレベル・フォーラムなどの主要項目などに続いて「森友学園の籠池(氏)が、安倍(総理)から献金があったと述べた」ことを挙げた。

CCTVは中国共産党が管轄するテレビ局で、中国共産党中央委員会政治局常務委員(現在のメンバーを筆者はチャイナ・セブンと名付けている)のその日の特筆すべき行動を、党内序列の順番に報道することになっている。その他、中国を讃えるための内政状況などを報道し、最後の3~4分(長い時で5~6分)で海外のニュースを報道する。

よほど大きなニュースでない限り、チャイナ・セブンのニュースと同列にラインアップで海外のニュースを列挙することはあまりない。だというのに、19日夕方からの「党と政府の主要項目」と同列に森友学園問題を置き始めたというのは、それくらい「大きなニュース」扱いにしているわけだ。

たとえば2017年3月19日の北京時間19:00のCCTVのニュース番組「新聞聯播」をご覧いただきたい。ニュースが始まった22分45秒あたりから森友学園に関するニュースが始まり、25分25秒まで続く。2分半ほどの時間ではあるが、30分間のニュースの中で、2分以上を割くというのは非常に大きなことだ。

3月20日のCCTV昼のニュースでも、同様にラインアップで報道し、北京時間12:18から12:21まで詳細に伝えた。

具体的な内容の概略はこうだ(中国側の報道)。

――(16日に)籠池氏が「安倍総理の寄付金100万円があった」と述べたことに関して、(18日)毎日新聞は振込票のコピーを公開した。振込票には修正テープで消した個所があったが、下からライトを当てると、そこには「安倍晋三」という文字が透けて見えた。安倍記念小学校として開校されることになっていた小学校(瑞穂の國記念小學院)への寄付金だ。森友学園の背景には日本の極右団体・日本会議がある。安倍首相の妻の昭恵夫人は「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長になっていたこともあり、昭恵夫人は何度も森友学園傘下の塚本幼稚園を訪れ絶賛している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、3月15.5万人増に加速 不確実

ビジネス

任天堂、「スイッチ2」を6月5日に発売

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中