米国防長官は中国非難するも軍事行動は排除 日本に防衛負担増を示唆
2月4日、米トランプ新政権の閣僚として初来日したマティス国防長官は稲田朋美防衛相と会談し、南、東シナ海における中国の活動に関して懸念を共有した(2017年 ロイター/Toru Hanai)
米トランプ新政権の閣僚として初来日したマティス国防長官は稲田朋美防衛相と4日に会談し、南、東シナ海における中国の活動に関して懸念を共有した。しかし、マティス氏はその後の会見で軍事行動の必要性は排除。外交的な手段で解決する方針を強調した。
また、日本の現在の防衛負担を評価する一方で、さらなる努力の必要性を示唆した。
マティス長官は会見で、「我々は南シナ海で見てきた。中国がこの地域において信頼を踏みにじった」と中国を非難した。会談に同席した日本の政府関係者によると、マティス氏と稲田氏は地域情勢の意見交換に多くの時間を割いた。南シナ海で人工島を造成し、東シナ海で動きを活発化させる中国が主要議題の1つだったという。
会見でマティス長官は、中国も領有権を主張する尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象と改めて表明。米国による防衛の義務があることを確認した。
その一方でマティス氏は、中国に対する軍事行動の必要性は排除した。「外交的な努力に訴える。軍事的な作戦は現時点で必要ない、それに類似したものも必要ない」と語った。
「防衛の人材と能力に投資を」
選挙期間中から同盟国の負担増を訴えたトランプ政権の誕生で、日本側には在日米軍の駐留経費や防衛費の増額を求められるとの見方が広がっている。しかし稲田防衛相によると、会談では駐留経費に関する議論は出なかった。
会見で日本側の駐留費負担について聞かれたマティス氏は、「日本の分担は他の国のモデルになる」と評価。さらに、ここ数年は防衛費を増加させていることに触れ、「正しい道を日本は歩んでいる」と語った。
同時にマティス氏は、「今の状態に慢心してはいけないことは、(自身も稲田氏も)意識し合っている」と指摘。「同盟の成長にあわせ、防衛の人材と能力に投資を続けることが重要だ」と語り、日本に一層の努力を求めた。