「反米」のレッテル貼るトランプ口撃、企業はツイートに恐々
1月10日、トランプ次期米大統領(写真)がツイッターで「反米的」な行動を採る企業を次々と批判している。企業側はトランプ氏による「口撃」の標的にされないよう、人員削減や製造拠点の海外移転を取りやめるなど、対策に乗り出した。写真はニュージャージー州で昨年10月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)
トランプ次期米大統領がツイッターで「反米的」な行動を採る企業を次々と批判している。企業側はトランプ氏による「口撃」の標的にされないよう、人員削減や製造拠点の海外移転を取りやめるなど、対策に乗り出した。
トランプ氏は12月、「企業がわが国を離れて外国に行ったり、従業員を解雇したり、外国に新工場を建てておいて、その製品を米国で売っても報いを受けないと思っているなら、とんだ間違いだ」とツイッターに投稿した。
トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げて選挙戦を闘い、経済が停滞している地域に製造業の雇用を取り戻すと約束した。
複数のトップバンカーによると、企業の中には「非国民」のレッテルを貼られるのを恐れ、大幅な人員削減につながる買収計画を棚上げしたり、生産拠点や課税上の居住地の移転を控えるところが出てきている。
バミューダを拠点とする保険会社、マウンテンズ・インシュランス・グループは、税率の低い外国に本拠を移す「インバージョン」を目的に身売り交渉を進めていた。しかし3人の関係筋によると、11月の大統領選後に「反米」視されるとの懸念などから計画を打ち切った。
大統領選以来、他にも同様の保険関連の案件が少なくとも2件、空中分解したという。
トランプ氏が中国への敵対姿勢を示していることも、一部の企業に計画を思いとどまらせている。
ウエアラブル端末のフィットビットのジェームズ・パーク最高経営責任者(CEO)は、中国に大規模な製造拠点を持つ企業は、自社を含めてすべて緊急時対応計画を策定するだろうと見ている。
ツイッターを注視
複数の企業CEOや企業顧問によると、企業はツイッターのモニター体制を強化するとともに、自社が批判された場合の対応に備えて広報(PR)専門企業との契約にも動いている。
防衛関連事業を請け負うある米大手企業の最高幹部は、「取締役会からは12月の時点で『彼に攻撃された場合の対策は整っているか?』と聞かれていた。今は、PR企業と契約しているか、ツイッターのモニター要員はいるか、と聞いてくる」と話す。
この幹部は、トランプ氏と「応戦せず、直ちに折れる構えだ。身を低くしてレーダーに映らないようにしている」と打ち明けた。