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対テロ戦争

イスラム教国にもあるトランプ・タワーは報復テロの格好のターゲット

2016年12月26日(月)20時00分
トレバー・スロール(米ケイトー研究所国防外交担当上級研究員)

 そしておそらく最も重要なのは、大統領自身がどう反応するかだ。イスタンブールのトランプ・タワーが燃え上がり、多くの命が奪われたとき、トランプ「大統領」はどう反応するだろう。選挙戦での言動から判断すると、自分が侮辱されたかのようにむきになることが想像できる。感情に任せて極端な手段をとるかもしれない。過剰反応は、テロリストの思う壺なのだが。

 もう1つの道は、トランプが自らの持ち分を売却して、ビルの名前を変えるなど、必要な手続きをすることだ。そうすれば、これらのビルの象徴的な意味は大きく損なわる。「かつての」トランプ・タワーなら、たとえ攻撃されたとしても、トランプもさほど動揺せずに済むだろう。

 残念ながらトランプは、どんなに利益相反の可能性を指摘されても自分のビジネスを手放したがらない。自分のビルを売ったり名称変更するなどの対テロ対策も必要ないと思っているようだ。このままでは、トランプはアメリカに新たな対テロ戦争を持ち込むことになりかねない。

Tevor Thrall is a senior fellow for the Cato Institute's Defense and Foreign Policy Department.
This article first appeared in the Cato Institute site.

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