スラバヤ沖海戦で沈没の連合軍軍艦が消えた 海底から資源業者が勝手に回収か
スラバヤ沖海戦の記念祝典に参加するインドネシア軍兵士 Didik Suhartono-REUTERS
<第2次大戦中、インドネシアのスラバヤ沖で日本軍が沈めた連合国の艦船の船体が、遺骨と共に姿を消した。海の底に沈んで回収できない遺骨は船を墓に見立てて永遠に保存するもの。イギリスやオランダはインドネシアに徹底調査を求めているが、いったい何が起こったのか>
インドネシア・ジャワ島東部の都市スラバヤはインドネシア有数の港湾都市であると同時に海軍兵学校、海軍基地のある軍都でもある。第2次大戦中この軍都の北西約50キロの海域で日本海軍と連合国艦艇による海戦があった。「スラバヤ沖海戦」がその海戦で、日本側の勝利で連合国艦艇8隻が海の藻屑と消えた。
2017年の「スラバヤ沖海戦71周年」の記念行事準備のため、2002年と2006年にそれぞれ民間人ダイバーが発見、確認した同海域の海底約50メートルに眠る7隻の連合国軍艦艇のその後の様子を確認するために、このほど国際合同チームのダイバーたちが改めて潜ったところ驚くべき事実が判明した。
沈没して海底に横たわっていたはずのオランダ海軍の軍艦3隻、英国海軍の軍艦3隻、さらに2006年発見の米海軍潜水艦の計7隻のうち、潜水艦を含む5隻の船体が消えてなくなり、残る2隻もその大半が消失していたのだ。実際に潜ったダイバーたちによると、沈没した海底には何かを引きずったような形跡が残されていたという。
「沈没艦艇は戦死者の墓標」
スラバヤ沖海戦ではオランダ海軍の軽巡洋艦「デ・ロイテル」「ジャワ」、駆逐艦「コルテノール」、英海軍の重巡洋艦「エクセター」、駆逐艦「エレクトラ」「ジュピター」「エンカウンター」、米海軍駆逐艦「ポープ」、潜水艦「パーチ」の計9隻が日本軍の攻撃で沈没した。
このうち「ジュピター」と「ポーチ」を除く7隻の沈没した船体が海底で確認されていたが、今回の合同調査チームダイバーの潜水調査で「エクセター」「デ・ロイヤル」「ジャワ」「エンカウンター」「パーチ」の5隻の船体がほぼ完全に海底から消え、「コルテノール」と「エレクトラ」は船体の大半が失われていたという。
連合国軍の記録などによると7隻の沈没艦艇は計2200人の海軍軍人の遺骨と共に海底に眠っているはずで、その遺骨の行方も船体とともに不明となっているという。