有名キャスターをここまで脅していたトランプ陣営
今年3月、共和党候補の討論会の司会に臨むケリー(中央) Rebecca Cook-REUTERS
<昨年の公開討論会でトランプの女性蔑視発言を問いただした女性キャスターはこの一年、いつ襲われるかわからない状態にあった。トランプとその手下が、彼女に対する世間の憎悪を煽り立てたからだという。このほどCNNに出演し、明かした>
次期大統領ドナルド・トランプのメイガン・ケリーに対する恨みは、われわれが想像するより遥かに陰湿だった。米FOXニュースのアンカーウーマンであるケリー昨年8月、大統領選予備選共和党の討論会でトランプが口にしてきた女性蔑視発言(「太った豚、だらしないズボラ、胸くそ悪いけだもの」等)を問いただして以来、トランプの支持者から殺害予告や嫌がらせの嵐に見舞われ、その後1年にわたり特別警護をつける必要に迫られた。
今年1月には、FOX主催で開催された共和党候補の最後のテレビ討論会をトランプがボイコット。司会をする予定だったケリーを降板させろと圧力をかけたが、FOXがこれに応じなかった。
ケリーは今週水曜、米CNNの番組に出演し、この間のトランプ陣営からの脅しの凄まじさについて語った。FOXニュースのある経営幹部がトランプ陣営のトップに対し、もしケリーが「殺される事態」になれば選挙にも悪影響が出る、と言って説得せざるを得ないほど切迫した状況だった。トランプ陣営はそれほどまでに、人々の間で彼女への憎悪をかき立てたという。
「敵」に対する憎悪をかきたてる
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トランプの手足となり働いたのが、トランプの弁護士で、トランプが経営する不動産会社トランプ・オーガニゼーションの副会長を務めるマイケル・コーエン。彼は"Let's gut her(彼女のはらわたを出してやろう)"というツイッターの投稿をリツイートした。「それも非常に危険度が高まっていたときに故意にね。当時FOXニュースの副社長だったビル・シャインがコーエンに電話して『こんなこと止めるべきだ。君が怒っているのは分かるが、彼女には3人の子どもがいてニューヨークを歩き回っているのだから』と話した」と、ケリーは言う。
だがコーエンは気にも留めない様子だったので、シャインはこう言った。「もしケリーが殺されれば、トランプ氏の助けにならない」
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するとコーエンはツイッターで、彼女を「嘘つき」や「裏切り者」「サイコ(精神異常者)」とけなしたりリツイートした。gutという単語については、身体的に危害を加える脅しの意味はなかったと、後日ツイッターで釈明した。
ジャーナリストを脅すのはコーエンの常套手段だ。トランプの元妻イヴァナが過去のトランプの行為について「レイプ」だったと暴露した90年代の証言を、米オンライン誌デイリー・ビーストが見つけ出して報道すると、コーエンは「妻をレイプなんてできない」と一蹴し、取材していた複数の記者を脅迫した。「トランプ氏の名前が入る記事に『レイプ』という言葉を載せれば、お前らがこの世に生きている限り、生活をめちゃくちゃにしてやる。どん底からのし上がる方法は決して分からないだろう」