最新記事

イスラム過激派

イスラム過激派、トランプの勝利を西側諸国の若者勧誘に活用

2016年11月14日(月)20時18分

11月14日、アフガニスタンからアルジェリアに至るまで、中東・北アフリカで活動するイスラム過激派組織が、米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことを戦闘員を勧誘するプロパガンダツールとして利用する計画だ。写真は3日、ノースカロライナ州セルマで選挙演説中のトランプ氏米次期大統領。ISISの文字がスピーチ装置「テレプロンター」に流れている様子(2016年 ロイター/Carlo Allegri)

 アフガニスタンからアルジェリアに至るまで、中東・北アフリカで活動するイスラム過激派組織が、米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことを戦闘員を勧誘するプロパガンダツールとして利用する計画だ。

 過激派組織「イスラム国」(IS)の支持者や「タリバン」の司令官らは、トランプ氏の選挙期間中のイスラム教徒に関する発言は、組織のリクルート活動に大いに役立つと話している。特に、現状に不満を抱いている西側諸国の若者に有効だという。

 「あの男(トランプ氏)は完全なマニアだ。彼のイスラム教徒に対する絶対的な憎しみを使って数千人を勧誘できる」と、アフガニスタンのIS幹部はロイターに述べた。

 トランプ氏は選挙戦でイスラム過激派組織に対して強硬な発言を繰り返し、「冷戦に勝利したように、イスラム過激派のテロにも」勝つと宣言。従来はイスラム教徒の入国を完全に禁止する方針を打ち出していたが、当選後はトーンダウンし、「テロを輸出してきた」国からの移民を一時的に停止すると話している。

 一方でトランプ氏は、ISやタリバン、アルカイダなど過激派組織と戦う計画についてほとんど詳細を明らかにしていない。

 イラクのイスラム教シーア派の指導者ムクタダ・サドル師は声明で、「トランプ氏は、過激派と穏健なイスラム教徒を区別していないと同時に、彼の過激な思想が新たな過激思想を呼ぶという事実を見落としている」と批判した。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

野村HDの前期純利益、約2倍で過去最高 主要3部門

ビジネス

アステラス、26年3月期の営業益3.8倍の見通し 

ビジネス

日経平均は3日続伸、米中貿易対立緩和期待で 円安も

ビジネス

野村HD、発行済み株式の3.2%・600億円を上限
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中