株価一転急伸、トランプ勝利で効果期待のヘルスケア・金融などに買い
11月9日、米国株式市場は急伸し、主要3指数の上昇率がそろって1%を超えた。写真はNY証券取引所のトレーダー(2016年 ロイター/Brendan McDermid)
米国株式市場は急伸し、主要3指数の上昇率がそろって1%を超えた。米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏の政策で恩恵を受けそうなヘルスケアや金融などが活発に買われた。
ダウやS&P総合500種の先物が急落していた海外の取引時間から地合いが急激に好転した。ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏の政策が民主党のクリントン候補の政策よりも当面の経済成長に有益だと投資家が考え、相場が力強く持ち直したと指摘した。
ヘルスケア<.SPXHC>が3.4%、金融<.SPSY>は4.1%それぞれ上昇。トランプ氏は、医療制度改革(オバマケア)の廃止や金融危機後に導入された銀行への規制を緩めると表明している。一方、民主党のクリントン候補は薬価の抑制を主要公約の一つに掲げていた。
個別銘柄では医薬品のファイザーが7.1%上昇。iシェアーズ・ナスダック・バイオテクノロジーETFは8.9%上がった。金融のJPモルガン・チェースは4.6%高、ウェルズ・ファーゴは5.4%高となった。
株式市場は通常、大統領と議会多数派の政党が異なる方が過激な政策を防げるために好ましいとみなすが、今回は上下両院とも共和党が過半数を維持した。ただヴンダーリッヒ・セキュリティーズのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、共和党内の財政保守派がトランプ氏の暴走にブレーキをかけるのは間違いないので、「チェック・アンド・バランス」の機能は今後も働くとの見方を示した。
騰落銘柄比率はニューヨーク証券取引所が1.24対1、ナスダックが2.59対1でいずれも上げが優勢だった。米取引所の合計出来高は約117億株で、過去20営業日平均の70億株を大きく上回った。