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アメリカ経済アメリカ大統領選にわかに緊迫化、ウォール街は株のヘッジ取引が急増へ
11月1日、米大統領選は8日に投票日を控え、にわかに接戦の様相を呈してきた。共和党のトランプ候補が勝利して米株式市場が混乱に陥る可能性に備え、トレーダーはあわててヘッジ取引を増やしている。NY証券取引所で10月撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)
米大統領選は8日に投票日を控え、にわかに接戦の様相を呈してきた。共和党のトランプ候補が勝利して米株式市場が混乱に陥る可能性に備え、トレーダーはあわててヘッジ取引を増やしている。
先週まで、大半の世論調査では民主党のヒラリー・クリントン候補がトランプ候補に支持率で水を開けていた。先月実施したロイター調査では、クリントン候補が勝利した方がトランプ候補勝利の場合よりも米国の株価に有利に働くとの見方が大勢を占めている。
しかし米連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の私用メール問題について捜査再開を発表したのをきっかけに情勢が一変。両候補の支持率が再び拮抗し、株式市場に動揺が広がっている。
今週に入り、株価が急変動した場合に利益を上げようと、市場の不安心理を示すCBOEボラティリティ指数(VIX指数)<.VIX>のコールオプションなどの建玉が増加し始めた。調査会社トレード・アラートによると、1日時点でVIXのコール(買う権利)の建玉はプット(売る権利)の3.5倍で、約半年で最も大きく差が開いた。
今月が期日の約定ではさらに差が大きく、コールがプットの4倍以上に達している。
VIX指数は長期平均の20を超え、7週ぶりの高水準をつけた。
チャールズ・シュワブのマネジングディレクター、ランディー・フレデリック氏は「VIX指数は6日連続で上昇した。つまり市場参加者はS&P総合500種株価指数<.SPX>のオプション価格を引き上げているということだ」と話した。
フレデリック氏はまた、VIXに加え、S&P500種指数に連動するETF(上場投資信託)であるSPY
トレード・アラートによると、1日にはSPYオプションの出来高が1日平均の1.5倍に当たる380万枚に急増した。
中でも選挙日に近い期日のオプションが人気を集めている。トレード・アラートによると、SPYオプションでは投票翌日の9日に期日を迎える約定のインプライド・ボラティリティが22.2%と、全期日の中で最も高くなっている。この数値はS&P指数が急変動するリスクを反映するものだ。
権利行使した場合に利益がゼロとなる「アット・ザ・マネー」のプットオプションと、同種のコールオプションを同時に買う「ストラドル」のコストを見ると、株価が9日までに上下いずれかの方向に約2.4%変動する可能性が織り込まれている。
ヘッジ取引が著しく活発化したのはここ1週間。ほんの最近まで、大統領選結果によって株価が乱高下する可能性にトレーダーが真剣に備えている様子はうかがえなかった。
(Saqib Iqbal Ahmed記者)