ペルーAPECで習主席FTAAP強調――北京ロードマップ
「中国+ラテンアメリカ・カリブ諸国」フォーラムでの習主席(2015年1月、北京) Kim Kyung-Hoon-REUTERS
安倍首相がトランプ氏と会談している最中、習主席は中南米の旅に集中。ペルーのリマで開催されたAPECでは、他国を除外しないアジア太平洋自由貿易圏FTAAPを主張。背景には発展途上国をまとめた77カ国グループ戦略がある。
中国が「北京ロードマップ」と位置付けているFTAAP
習近平国家主席は現地時間11月19日(日本時間20日午前)、ペルーのリマで開催されているAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で「アジア太平洋自由貿易圏FTAAPの実現を断固推進する」と述べた。
FTAAP(Free Trade Area of the Asia-Pacific)(エフ・タープ)とは、アジア太平洋地域において関税や貿易を制限する措置を取り除き、経済上、幅広い分野での連携の強化を目指す構想で、APEC全域での経済統合を目指している。
中国の国営テレビCCTVは、ここのところ連日のように習主席の「拉美之行(ラテンアメリカの旅)」が、いかに壮大な戦略に基づいたものであるかを報道し続けていた。
同時に、2014年11月に北京で開催されたAPEC首脳会談において習主席が提案した「FTAAPの早期実現」を「北京ロードマップ」と称して特集し、トランプ氏の大統領当選により急激に薄まったTPP実現可能性に伴い、自由貿易圏に関する中国の飛躍的な重要性を強調している。
2014年11月の北京APECで習主席がFTAAPの早期実現を提唱した時には、日米は難色を示し、特にアメリカは、FTAAP早期実現案を阻止しようという言動を見せたと中国は認識し、これまで何度もそのように報道してきた。オバマ大統領を中南海で華々しく迎えた習主席にはそのアメリカを中国側に引き寄せる思惑があったが、TPP構想を何としても実現させようとしていたオバマ大統領は、この点では明確な一線を習主席との間に引いていたとのこと。
TPPは西側の価値観を共有した貿易ルールに基づいた自由貿易協定で、対中包囲網形成の意味合いが含まれている。