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金融政策「財政拡張で金融緩和強化を」安倍首相の経済ブレーンの浜田参与
10月26日、安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授(写真)は、ロイターとのインタビューで、雇用情勢の改善を持続させるには、金融緩和の効果を増大させる財政拡張が重要と語った。写真は2014年12月都内で撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)
安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は26日、ロイターとのインタビューで、雇用情勢の改善を持続させるには、金融緩和の効果を増大させる財政拡張が重要と語った。
2016年度第3次補正予算の編成にも前向きな見解を示した。
一方、金融政策について、現状でのマイナス金利深掘りは必要ないとした。
安倍政権の経済政策であるアベノミクスに関し、第1の矢である大規模な量的金融緩和の推進で労働市場や企業収益の改善など効果を発揮したが、「金利がゼロ%に近づき、量的緩和の影響は当初に比べると薄れてきている」との認識を示した。
こうした中、日銀は9月に政策の軸足をそれまでの「量」から「金利」に転換。短期のマイナス金利政策と長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」を導入した。
浜田氏は金融緩和の効果が拡大しなければ「雇用情勢の改善も止まってしまう可能性がある」とし、すでに金融政策が「全開」の中で「効果を一層強化するには、財政政策も活用していかなければならない」と強調。
財政拡大で市場金利が上昇し、民間投資が抑制される「クラウディングアウト」懸念などから、これまでは財政の効果に懐疑的な見方を示していたが、日銀の長期金利コントロールによって「クラウディングアウトが避けられるとともに、財政の助けによって金融緩和が一段と効果を発揮する」と語った。
そのうえで、事業規模28兆円に及ぶ大規模な経済対策など安倍首相が積極財政を明確化したことを「アベノミクスは非常にいい方向」と評価。与党内で待望論が出ている16年度の第3次補正予算の編成にも前向きな姿勢を示した。
こうした経済政策は、中央銀行による国債の直接引き受けなどで財政を拡大する「ヘリコプターマネーではない」と強調。ヘリコプターマネーは政府の無駄遣いやインフレ高進に歯止めが効かないとし、財政・金融の連携においても「物価目標はコアコアCPI(食料・エネルギーを除いた消費者物価)で1.5%でいいが、それが達成されれば、消費税率を毎年1%ずつ上げていくことも進言したい」と語った。
また、今後の日銀の金融政策運営に関し、「マイナス金利のさらなる深堀りは、ビジネスに脅威となる可能性がある」とし、現状では必要ないとの認識を示した。
(伊藤純夫 金子かおり 編集:吉瀬邦彦)