ベネズエラは100%独裁政権になりました
一夜明けた10月21日、マドゥロ批判のデモをする学生たち(REUTERS/Marco Bello)
10月20日の夜、ベネズエラの選挙管理委員会は大統領罷免の手続きを中止することを決定しました。
ここ数ヶ月は特に大統領罷免を求める国民投票実施の手続きを中心に与野党の攻防が続いていました。
ベネズエラの憲法では明確に国民が大統領の罷免を求める権利を認めています。
さらに、野党派内からは「罷免選挙を実施ないことは(大統領罷免を定める憲法を制定した)チャベスの遺産に反する」という意見も出ていました。
この緊張状態が、20日(木)の夜に突然、何の前触れもなく、終わりました。
というわけで、この日を境にベネズエラのチャベス派政権は正式に独裁政権となりました。
"この17年間、政治学者はウゴ・チャベスがベネズエラで作り出した中間的なシステムを表現する方法を考えあぐねていた。通常の意味で言えば民主主義とは言いがたく、かといって通常の独裁政治でもない。 政府は憲法の規定に厳密に従ってはいなかったが、大きくみれば、人々には結社の自由も、言論の自由も投票の自由もあった。これを何と呼ぶか?競合的独裁主義?ハイブリッド政権?反自由主義的民主主義?どの呼び方もしっくりこないように思えた。ただ、完全には独裁政治とはいえないベネズエラの中途半端さの余情だけがしっくりきた。
ベネズエラにいる民主化を求める活動家にとって、「ちょっとだけ独裁」体制を築きあげた政権との戦いは、心身のすり減るような試練だった。憲法で定められた大統領罷免を求める権利の破壊に対する純粋な怒りの中に、この明瞭さに対する感謝の念をかすかに感じ取ることができるのはそのせいだ。
我々は形容詞から解放された。これでようやく学問的な回りくどさと縁が切れる。
ハイフンでつないで表現する必要はもうない。ベネズエラはただの独裁政治なのだ。
ちなみに今回の選管の決定には、笑ってしまうほどに、正当性のみじんもありません。