北朝鮮の核実験にキレた韓国が取る次の手段
Kim Hong-Ji-REUTERS
<中国への不信感から日台韓共同での核武装論が浮上。北朝鮮の指導者抹殺を任務とする特殊部隊の計画もある>(写真はソウルで行われた反北朝鮮デモ)
北朝鮮が先頃強行した5度目の核実験に、当然のことながら韓国は強い反発を見せている。朴槿恵(パク・クネ)大統領は軍に対し、北によるどのような核の挑発にも強く報復できるよう、十分な臨戦態勢を取ることを指示した。
そんななか韓国では、中国に対する不信感が高まると同時に、自国の核武装論が再び浮上している。
北朝鮮は国連からすべての核やミサイル発射の実験を禁じられており、これまで国連の制裁を6度受けている。だが、制裁による北朝鮮の非核化は実現していない。国連の動きが効果を持たないのは、中国とロシアの抵抗による部分が大きい。
中ロ両国は国連安全保障理事会の制裁に名目上加わっているものの、実質的には北朝鮮の体制延命に手を貸している。5つの安保理常任理事国のうち2つの力によって、北朝鮮は核武装計画を温存させてきた。北朝鮮は、安保理が軍事制裁を含む決定的な制裁を行わないことを知っている。
【参考記事】北朝鮮核実験で見えてきた核弾頭量産化の悪夢
一方で、韓国がTHAAD(高高度防衛ミサイル)の配備を決めると、中国は強く反対。THAAD配備は北朝鮮の実験と同様に挑発的な行為だと非難した。中国国営メディアの中には、ミサイル防衛システムの配備の動きが北朝鮮の5回目の核実験の引き金となったと主張するところもあり、韓国国民を激怒させた。
韓国では、国防体制の大胆な変革を求める声が起きている。アメリカの戦術核兵器の再配備を求めたり、安保理の無能を批判するだけにとどまらない。
専門家らは韓国が核兵器開発で日本や台湾と協力して、中国・ロシア・北朝鮮3カ国の戦略的共謀に対抗すべきだと主張。さらには金正恩(キム・ジョンウン)体制の打倒こそ北を非核化する唯一の手段だ、という見方を強めている。
北朝鮮の核兵器の進展具合に応じて、韓国も独自に核開発を進めるよう要求する政治家も出てきた。8月下旬には与党セヌリ党の国会議員らが政府に、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイルによる脅威の高まりに対し、原子力潜水艦開発で対抗すべきだと要求した。