フィリピンのドゥテルテ大統領、アメリカ軍との軍事同盟維持表明
10月12日、フィリピンのドゥテルテ大統領は既存の防衛条約や軍事同盟を今後も維持する意向を表明した。発言により、米国とフィリピンの安全保障関係に関する先行き不透明感が増し、混迷は深まった。写真は同日、マニラで講演する同大統領(2016年 ロイター/Damir Sagolj)
フィリピンのドゥテルテ大統領は12日、既存の防衛条約や軍事同盟を今後も維持する意向を表明した。発言により、米国とフィリピンの安全保障関係に関する先行き不透明感が増し、混迷は深まった。
過去1週間にわたって反米的な物言いを繰り返してきた大統領は発言を一転させ、米国との防衛同盟の維持を示唆。外交政策については「再編成」を意図していると主張した。一方で、10年来の伝統となっている米軍との合同軍事演習は中止すると改めて述べた。
外交政策の再編成の一部は、中国やロシアと交渉を申し入れることにある。大統領の両国に対する評価は高く、10月18日から21日にかけての中国訪問を皮切りに、数週間以内に両国を訪問する予定だ。
マニラで沿岸警備隊を前に演説した大統領は「既存の条約はわれわれに傘を差し掛けてくれるかもしれず、それを破ったり、廃止する必要はない」と指摘。「われわれは全ての軍事同盟を継続する。なぜなら、彼らがわれわれの防衛に必要だと言うからだ」と述べた。「彼ら」が誰を指すのかは明言しなかった。
米軍との合同演習については「私は再編成を求める。来年からは演習の予定はない。準備しなくてよい」とし、「ロレンザーナ国防相には来年の準備の中止を指示した。もう必要ないのだ。今後、私が独立した外交計画を策定する」と述べた。
ドゥテルテ大統領は先週、アメリカのオバマ大統領に「地獄に落ちろ」と述べるなど、米国との関係を損ねる発言を繰り返した。フィリピンは米国の支援を「懇願しない」とも述べ、米国の諜報機関による追い落とし工作にも立ち向かうとした。
前ダバオ市長で独自路線を貫くドゥテルテ大統領は、かつての米国による統治支配に怒りを表明し、大統領が推進する麻薬撲滅策の過激さに米政府の懸念を示していることを「叱責」と呼び、反発した。