「これは戦争だ」比ドゥテルテ大統領の右腕、死者増加を予想
10月4日、フィリピンのロナルド・デラロサ国家警察長官(写真)はフィリピンのドゥテルテ大統領が推進する麻薬撲滅戦争を執行する立場にある。この作戦ではわずか3カ月間で3400人以上の死者が出ている。写真は3日、首都マニラの南にあるパサイしで聴聞会に出席する同長官(2016年 ロイター/Romeo Ranoco)
フィリピンのロナルド・デラロサ国家警察長官が、ルソン島の地区本部で警官に激励の訓示を行うと、彼らはプレゼントで応えた。それは、米映画「ブレイブハート」で俳優メル・ギブソンが使った剣のレプリカだった。
恰幅のよい長官はにやりと笑うと、自分の背ほどもある剣を振り回してみせた。仮設テントの拡声器からは「勇者の中の勇者」と彼をたたえる声が流れた。
54歳のデラロサ長官は、フィリピンのドゥテルテ大統領が推進する麻薬撲滅戦争を執行する立場にある。この作戦ではわずか3カ月間で3400人以上の死者が出ている。
フィリピンで面積・人口とも最大のルソン島をデラロサ長官が訪れたのは、この作戦の血なまぐさい最前線に立つ警官たちを鼓舞するために行われている視察の一環である。
「職務を遂行するよう、彼らを励まさなければならない」と長官は先月この視察を取材したロイター記者に語った。「これは戦争だ」
警察は3日、ドゥテルテ大統領氏が就任した翌日7月1日以来、麻薬撲滅戦争によって1375人が射殺されたと発表。また「捜査過程での死亡」として他に2066人が殺されていると報告している。人権活動家によれば、これらの多くは自警団による殺害だという。
ロイターでは、これらの数値の正確性、そして死亡数のうちどの程度が自警団による殺害なのかを確認できなかった。
この麻薬撲滅戦争は諸外国からの怒りを買っている。だがフィリピン国内では、犯罪にうんざりした国民からの称賛を浴びており、市民団体からの批判の声も大きくない。
フィリピンでは、汚職と暴力という悪評のため、一般的に警察が軽蔑や恐怖の対象となっているが、デラロサ長官の人気は高い。
国家警察庁長官に就任してわずか2カ月だが、国内メディアはすでに彼をドゥテルテ氏の後継候補としてもてはやしている。ただし、マーティン・アンダナール大統領広報官はこれを「憶測」と断じている。