人道支援トラックに空爆、シリア和平の希望が潰える
Syrian Civil Defence/YOUTUBE
<政権側、反体制側の双方から停戦違反の非難が相次ぎ、7日間のシリア停戦が終了。その直後、国連の人道支援車列が空爆されて約20人が死亡した。ロシア・シリア両政府への批判が高まる一方、国連は支援活動を停止した>
シリア北部の街アレッポの近郊で19日夜、人道支援の車列が空爆に遭い、約20人が死亡。停戦継続の希望は潰えた。
内戦の激戦地となっているアレッポの西部、ウルム・アル・クブラ。シリアの反体制派が支配するこの町で、国連が支援するシリア赤新月社の車列が空爆されたことを国連が確認した。トラック31台のうち18台が破壊され、赤新月社の倉庫も攻撃されたという。アレッポに残された約7万8000人の困窮した市民のための支援物資を運んでいるところだった。
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シリアでは米ロの仲介により7日間の停戦が12日に発効したが、極めてもろい停戦だった。政権側、反体制側の双方から相手側の停戦違反に対する非難の応酬が続き、延長の見込みがないまま空爆が起こった。
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救援団体のシリア市民防衛団(SCD)は空爆を受けた場所の映像を公開。映像では、ここが赤新月社の倉庫だったと、支援団体の職員が破壊の跡を示している。
「政権軍のヘリコプターが樽爆弾を4発落とした」とSCDメンバー。そして破壊された赤新月社のトラックに積んであった物資を手に取って言った。「これは全部、国連の難民機関からの毛布だ。それに、紙おむつ......。家を追われた人々に届ける物資だったのに」
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