中国「未完の橋」が示す北朝鮮との蜜月の終わり
9月11日、濁水の上にそびえ立つ新鴨緑江大橋は、本来、中国と北朝鮮が共同運営する画期的な自由貿易区への投資を促し、両国の関係の新たな時代を象徴するはずだった。写真は中国の丹東市と北朝鮮の新義州市をつなぐ予定の新鴨緑江大橋。11日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)
濁水の上にそびえ立つ新鴨緑江大橋は、本来、中国と北朝鮮が共同運営する画期的な自由貿易区への投資を促し、両国の関係の新たな時代を象徴するはずだった。
中央分離帯のある道路が通る同橋は昨年、22億人民元(約335億円)をかけて一部完成したが、現在は放置されたままだ。中国側の国境検問所も見捨てられ、施錠されており、誰一人いない。
未完成の橋は、北朝鮮側で突然行き止まりになっており、インフラ工事が行われている兆候はない。
中国の国境都市・丹東に近い自由貿易区計画は2012年、北京の五つ星ホテルで鳴り物入りで発表された。かつての同盟国、北朝鮮をうまく説得して、武力による威嚇や核実験ではなく、慎重な輸出主導の経済改革を実施させようとする中国の努力の一環だった。
北朝鮮が先週、通算5回目で過去最大となる核実験を実施したことに対する中国の怒りは、この橋が近く開通する見込みがないことを意味する。北朝鮮がすでに、中国がその継続を支持した国連による広範囲な制裁下にあるだけになおさらだ。
丹東新地区の人気のない道路は、北朝鮮への関与策が失敗したことの証左となる。「シンガポールシティー」といった、しゃれた名前を持つ共同住宅は、むき出しだったり、未完成のままだったりする。ショッピングモールも閑散、もしくは空きが目立っていた。
モールにある照明ショップで店番をしていたSun Lixiaさんは、「橋の北朝鮮側が開通していない。私たちには、どうすることもできない。それは、この地元経済に悪影響を与えている。北朝鮮がいつ開通するか誰も分からない」と語る。
「住宅はなかなか売れず、多くの人々がここに引っ越ししたがらない」とSunさんは言う。「ここにはきちんとした病院さえない。半分完成しただけだ」
これは2012年、丹東のある地元当局者が国営メディアに語った内容と大きく異なっている。それは、この開発は香港最大の商業地区である銅鑼湾(コーズウェイベイ)に似て、1日当たり5万人と車両2万台が橋を経由して北朝鮮に向かうとの内容だった。