モンゴル、経済危機で通貨急落 米ドルや人民元求める市民が闇市場に殺到
8月24日、厳しい経済危機に見舞われているモンゴルでは、通貨ツグリクの下落に歯止めが掛からない。写真は都内で2010年9月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)
厳しい経済危機に見舞われているモンゴルでは、通貨ツグリクの下落に歯止めが掛からない。パニックを起こしたモンゴル市民はブラックマーケットの米ドルや人民元に殺到、外貨不足が日に日に深刻化している。
両替商のガンボルドさんは「ドルはもうないよ」と話す。ガンボルドさんは1990年のコミュニズム崩壊以来、両替商を営んでいるが、これまでは外貨が足りなくなると、仲間内で融通できていたという。
それが今では、ドルが海外から届くまでは、店を閉めるしかない。
モンゴルは、海外からの投資急減、持続不可能な拡張的財政政策、石炭や銅などコモディティーへの需要減退を受け、苦境に陥っている。
中銀は先週、通貨安に対応すべく、政策金利を450ベーシスポイント(bp)引き上げて過去最高の15%とした。ツグリクは8月初めから対ドルで9%下落し、下落率は世界の通貨の中でも突出している。
ドル供給が細るなかで、商業銀行は通貨取引を厳しく制限。ガンボルドさんによると、ある銀行はドルとの交換を拒否しているという。
チョイジルスレン財務相は今月、中銀の外貨準備残高は13億ドル、と述べた。ただし、中国との150億元の通貨スワップ協定を勘案しなければ、外貨準備は4600万ドルのマイナスとの見方を示した。
国際通貨基金(IMF)は先週、モンゴルを訪問し、政府関係者と面会した。ただ、一部のアナリストは、モンゴルはIMFではなく、中国との通貨スワップ協定拡充に救いを求めることになると見ている。
BD証券(ウランバートル)のニック・クーシュン最高執行責任者(COO)は「中国が域内に持つ影響力を生かして、IMFよりも大規模、かつより良い救済策を申し出る可能性が高い」と話す。「モンゴルは天然資源が豊富で、ロシアとの経済コリドーとしての潜在性を持つ。中国にとっては、戦略的に重要な意味がある」との見方を示している。