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安全保障自衛隊、安保法制に基づく駆け付け警護など「集団的自衛権」の訓練開始
8月24日、防衛省は今年3月に施行された安全保障法制に基づく新たな任務の訓練を同日から開始すると発表した。写真は稲田朋美防衛相。都内で3日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
防衛省は24日、今年3月に施行された安全保障法制に基づく新たな任務の訓練を同日から開始すると発表した。夏の参院選挙への影響を考慮し、先延ばしされてきた集団的自衛権などの自衛隊の新たな任務が本格的に動きだす。
国連平和維持活動(PKO)の交代要員として南スーダンに11月中旬に派遣予定の部隊は、新任務の訓練を今月25日から始める。これまでPKOに派遣された部隊は、自衛または自身の保護下にある国連職員などを守る場合のみ武器の使用が許された。安保法制のもとでは、遠隔地まで救助に赴く「駆け付け警護」や、宿営地を他国部隊と共同で守ることが可能になる。
稲田朋美防衛相は同日午前、記者団に対し「厳しさを増す中での日本の防衛、さらには憲法の許す範囲の中での自衛隊の貢献も期待をされているので、しっかりと訓練をすることが重要だと思っている」と語った。一方で、安保法制に対する国民の理解が得られているかどうかを問われ、「批判や懸念の声もあるので、しっかりとこれからも説明をしていきたい」と述べた。
11月中旬の南スーダン派遣部隊に実際に新任務を付与するかどうかは、訓練の習熟度と現地情勢を勘案して国家安全保障会議(NSC)が審査。閣議で決定する。
安保法制で行使が可能になった集団的自衛権や、作戦に向かう他国軍戦闘機への弾薬の提供にまで広がった後方支援の訓練も開始する。10月以降に行う日米軍事演習「キーン・ソード」や、日米指揮所演習「ヤマザクラ」には、新任務を訓練内容に含む可能性がある。
(久保信博)