最新記事

安全保障

自衛隊、安保法制に基づく駆け付け警護など「集団的自衛権」の訓練開始

2016年8月24日(水)17時47分

8月24日、防衛省は今年3月に施行された安全保障法制に基づく新たな任務の訓練を同日から開始すると発表した。写真は稲田朋美防衛相。都内で3日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

 防衛省は24日、今年3月に施行された安全保障法制に基づく新たな任務の訓練を同日から開始すると発表した。夏の参院選挙への影響を考慮し、先延ばしされてきた集団的自衛権などの自衛隊の新たな任務が本格的に動きだす。

 国連平和維持活動(PKO)の交代要員として南スーダンに11月中旬に派遣予定の部隊は、新任務の訓練を今月25日から始める。これまでPKOに派遣された部隊は、自衛または自身の保護下にある国連職員などを守る場合のみ武器の使用が許された。安保法制のもとでは、遠隔地まで救助に赴く「駆け付け警護」や、宿営地を他国部隊と共同で守ることが可能になる。

 稲田朋美防衛相は同日午前、記者団に対し「厳しさを増す中での日本の防衛、さらには憲法の許す範囲の中での自衛隊の貢献も期待をされているので、しっかりと訓練をすることが重要だと思っている」と語った。一方で、安保法制に対する国民の理解が得られているかどうかを問われ、「批判や懸念の声もあるので、しっかりとこれからも説明をしていきたい」と述べた。

 11月中旬の南スーダン派遣部隊に実際に新任務を付与するかどうかは、訓練の習熟度と現地情勢を勘案して国家安全保障会議(NSC)が審査。閣議で決定する。

 安保法制で行使が可能になった集団的自衛権や、作戦に向かう他国軍戦闘機への弾薬の提供にまで広がった後方支援の訓練も開始する。10月以降に行う日米軍事演習「キーン・ソード」や、日米指揮所演習「ヤマザクラ」には、新任務を訓練内容に含む可能性がある。

 (久保信博)

[東京 24日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員

ワールド

ロシア・イラク首脳が電話会談 OPECプラスの協調

ワールド

トランプ次期米大統領、ウォーシュ氏の財務長官起用を

ビジネス

米ギャップ、売上高見通し引き上げ ホリデー商戦好発
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中