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アメリカ社会公立学校で自ら望む性別によるトイレ使用を認めたオバマ政権の指針、地裁が差し止め
8月22日、オバマ米政権が、公立学校に通うトランスジェンダー(心と身体の性が一致しない人)に本人の望む性別でのトイレ使用を認めるべきだと通達したのに対し、13州がこれに異議を申し立てた問題で、米テキサス州北部地区の連邦地裁は21日、差し止めを認める決定を下した。 写真はフィラデルフィアで6月撮影(2016年 ロイター/Shannon Stapleton)
オバマ米政権が、公立学校に通うトランスジェンダー(心と身体の性が一致しない人)に本人の望む性別でのトイレ使用を認めるべきだと通達したのに対し、13州がこれに異議を申し立てた問題で、米テキサス州北部地区の連邦地裁は21日、差し止めを認める決定を下した。
同地裁のリード・オコナー判事は13州の主張を認め、全国的な差し止め命令を出した。テキサス州の大半で22日から学校の新年度が始まるのを前に、政府が通達したガイドラインに待ったをかける格好となった。
オコナー判事は、政府が事前に各州に十分な通知を行わず、意見を述べる機会を与えなかったと認定した。また、ガイドラインには法的効力があり、既存の法律や規制と矛盾しているとの見解を示した。
米司法省は声明で、この決定に失望していると表明し、今後の選択肢を検討していると述べた。法律専門家は司法省が控訴するとみている。
司法省と教育省は今年5月、公立学校に通うトランスジェンダーの生徒がトイレやロッカーなどの施設を、出生時の性別ではなく、本人の認識する性別に従って使用することを認めなければならないと通達していた。このガイドラインに対し、テキサス州を中心に13州が異議を唱えて提訴した。
司法省はガイドラインに法的拘束力はないとの立場だが、従わない州に対しては連邦政府からの教育補助金が抑えられる可能性がある。
下級裁判所ではこれまで、差別防止関連法をトランスジェンダーに適用すべきかどうかをめぐって解釈が分かれており、最終判断は連邦最高裁まで持ち込まれる可能性がある。