【写真特集】人間と自然が再びつながるビル緑化
ルーリー小児病院(シカゴ、12年5月)
<都市部の建築の屋根や壁に自然の要素を組み入れることが最近のトレンドになってきている。アメリカなどでも屋上緑化は新しい景観として存在感を見せ始めている>
技術の進歩は自然に対抗するものと、長らく考えられてきた。照明でも冷蔵庫でもエレベーターでも、開発の原動力は自然の限界を乗り越え、自然に打ち勝つこと。コンクリートや鉄、ガラスを使った建築は、人間と自然の分離に美しさを見いだした。
しかしこれと反対に、近年では建築物の屋根や壁に自然の要素を組み入れることが1つの潮流になってきた。アメリカなどでも屋上の緑化は新たな景観として存在感を見せ始めている。
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写真家ブラッド・テムキンは、各地に広がるそんな緑化の光景をカメラに収めた。見えてくるのは環境に対する人々の関心と、再び自然とつながりたいという欲求だ。
そこからは秩序と普遍性、自然への支配欲に駆られた人間の介入といった、より大きな意味も伝わってくる。同時に、ディストピア的なムードも感じられるだろう。アスファルトの裂け目から出てきた雑草、人間が地球を立ち去った後の将来の廃墟の叫びといったイメージだ。
テムキンは、建築表現の大きな変化を見事に捉えたと言える。それは自然と人間が同じくらい寄与できる芸術。建築物は人間と自然との対立から生まれるという過去の伝統とは一線を画している。