最新記事

鉄道

中国鉄道市場は外国企業締め出しへ、海外展開にらみ国内企業に肩入れ

2016年8月4日(木)18時56分

8月3日、中国の巨大な鉄道市場では外国企業の間から、国内産業育成を図る政府方針の下で入札基準が厳しくなり、案件の落札が難しくなっているとの声が上がっている。写真は中国の高速列車。上海で2010年10月撮影(2016年 ロイター/Aly Song/File Photo)

 中国の巨大な鉄道市場では外国企業の間から、国内産業育成を図る政府方針の下で入札基準が厳しくなり、案件の落札が難しくなっているとの声が上がっている。

 外国企業締め出しへの懸念はハイテクや再生可能エネルギーなど他の業種でも高まり、外国企業が中国国内で不平等な扱いに直面する例も目立つ。

 鉄道業界の外資系サプライヤー4社は、中国政府の支援を受けた競合企業が急増したため、契約獲得が困難になったと語る。うち1社は既に差別的な扱いを受けたという。

 ドイツのブレーキメーカー、クノールブレムゼのアジア太平洋部門取締役会長のアンスガル・ブロックマイヤー氏は「この1、2年で外資系企業を排除し、国内企業を優先する傾向が強まった」と話す。

 ドイツのシーメンスやカナダのボンバルディアなど外資系企業の多くはこれまで、中国での合弁事業で出資比率を小さくとどめ、中国企業に対するサブサプライヤーにとどまり、時には技術移転にも応じるという形で、中国で事業を展開してきた。

 しかし中国政府は今では鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)<1766.HK><601766.SS>を世界的な企業に育てようとしており、国内企業に肩入れしている。昨年発表された「メイド・イン・チャイナ 2025」計画でも鉄道は最優先セクターに挙げられた。

 このため一部の業界関係者は、100%現地保有の企業が優遇される一方で、外資系企業が犠牲になるとの警戒感を強めている。

 25年間ブレーキシステムを中国に納入してきたクノールブレムゼは昨年、中国11都市の入札で国内企業に比べて外資系企業の得点を引き下げる新たな基準に沿った入札書類を受け取った。この項目が響いて3つの案件で受注できなかったという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米政権、74億ドルの対イスラエル武器売却承認 議会

ワールド

トランプ米大統領、「相互関税」導入計画 週初にも発

ワールド

防衛費の増額要求ない、対日関税「わからない」=日米

ワールド

日米首脳「USスチールは買収でなく投資」、米産LN
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ドラマは是枝監督『阿修羅のごとく』で間違いない
  • 3
    「嫌な奴」イーロン・マスクがイギリスを救ったかも
  • 4
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 5
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 6
    賃貸住宅の「床」に注意? 怖すぎる「痕跡」を発見し…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    睡眠中に体内は大掃除されている...「寝ているあいだ…
  • 9
    なぜ「ファスティング」は「筋トレ」と同じなのか? …
  • 10
    ドイツ経済「景気低迷」は深刻......統一後で初の3年…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 5
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 6
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 7
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 8
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 9
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 10
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中