最新記事

2016米大統領選

トランプ陣営はスタッフも資金も足りない

2016年7月1日(金)17時00分
ジャメル・ブイエ

Ralph Freso/GETTY IMAGES

<選対本部長コーリー・ルワンドウスキを解任したトランプ陣営だが、そもそもまともな「選対本部」自体がまだ存在していない。問題の根本は資金不足で、本選での歴史的大敗の気配も漂い始めた>

 米大統領選で共和党の指名が確定したドナルド・トランプが6月末、選対本部長のコーリー・ルワンドウスキを解任した。トランプ陣営への大きな打撃と思いたいところだが、気に留めておくべきことが2つある。

 1つ目は、トランプが共和党候補の指名獲得を確実にした5月以降、選挙参謀のポール・マナフォートが前面に出るようになり、ルワンドウスキの影が薄くなっていたこと。トランプの側近はFOXニュースに、今はマナフォートが「すべてを取り仕切っている」と語った。

 2つ目。ルワンドウスキが去ることが打撃となる可能性に言及すれば、それは同時に、トランプ陣営には確固たる選挙運動の体制があると示唆することになる。それは違う。トランプ陣営に、そんな体制は存在しない。

【参考記事】「ベンガジ疑惑」を乗り越えたヒラリーと再び暴言路線を行くトランプ

 米大統領選は重要な局面を迎えている。候補者は支持層を正確に突き止め、ボランティアを養成し、有権者を実際に投票所に導く方法を見いだすべき時期だ。それなのに最新の調査では、トランプのスタッフは全米に30人ほどしかいない(前回の大統領選でバラク・オバマ大統領は800カ所近い支部を置き、900人以上の有給スタッフを抱えていた)。

 一方、民主党の指名を確実にしたヒラリー・クリントン陣営のスタッフは、オハイオ州だけで50人いる。今どきの選挙戦では早いうちから、激戦州の大半、あるいはすべてに「デキる」スタッフを据えることが常識となっている。

 トランプ陣営には、そんなスタッフがほとんどいない。トランプはスタッフの確保と配置を決めるのを、早くても7月まで待とうとしているようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ、爆発の数時間前までポケベル配布=治安筋

ビジネス

米国株式市場=ダウ最高値、ナイキが高い フェデック

ビジネス

ボーイング、米2州で従業員の一時帰休開始 ストライ

ワールド

一部州で期日前投票始まる、米大統領選 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 2
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 3
    NewJeans所属事務所ミン・ヒジン前代表めぐりK-POPファンの対立深まる? 
  • 4
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 5
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    他人に流されない、言語力、感情の整理...「コミュニ…
  • 8
    口の中で困惑する姿が...ザトウクジラが「丸呑み」し…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    ロシア防空ミサイルが「ドローン迎撃」に失敗...直後…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 3
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 10
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...…
  • 10
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中