邦人も避難へ、緊迫の南スーダン情勢と国連PKO
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<市民は逃げ惑い、負傷し、国連PKOはパトロールを妨害される──スーダンから分離独立して5年、10万人の犠牲を出したといわれる内戦が収束してから数カ月、またあっという間に内戦に逆戻りしかけている現地の情勢をリポート> (写真は戦闘が再燃した10日、マシャール第一副大統領の演説を聞くジュバ市民)
南スーダンの首都ジュバで10日、大規模な戦闘が再燃した。数日前から続いた銃撃戦による死者は政府側と反政府側の双方で250人に上るなど、難航する和平交渉は危機に直面しており、南スーダンが再び全面的な内戦状態に突入する恐れがある。
銃撃音が鳴り響いたのは10日の午前8時半頃、現場はジュバ近郊。リヤク・マシャール第一副大統領を支持する反政府軍のキャンプ内だ。マシャールは、南スーダンで2年以上続いていた内戦を終結させるのと引き換えに、今年4月にジュバへ帰還していた。目撃者は10日の昼前まで政府軍の攻撃用ヘリコプターが市内を旋回していたと証言。反政府軍側も、同キャンプがひっきりなしに政府軍による迫撃砲や重火器による砲撃を受けたと主張した。
難民や国連職員は戦闘の板挟みに
「戦闘はまだ続いており、今も内戦状態だ」と言うのは、国連がジュバ郊外のジェベルに設置した文民保護区(Protection of Civilian site、略してPoC)に避難した南スーダンの難民だ。ジェベルの近隣には、反政府軍が占拠するキャンプがある。「多くの怪我人が出て負傷者がこのPoCに押し寄せている最中、国連施設であるPoCの中にも砲弾が飛んでくる有り様だ」
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国連南スーダン派遣団(UNMISS)のシャンタル・ペルサウド報道官は、小火器による小競り合いや追撃砲の応酬が始まったのは、PcCの施設の北東部で、10日の朝から晩まで「ほぼ休みなく続いた」と説明。国連施設の周辺地域に拠点を置くマシャール派の反政府軍を、政府軍が狙っていたことを示唆した。
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しかし、数千人の難民や国連職員が戦闘の板挟みになっているにも関わらず、国連平和維持活動に携わるPKO部隊はまだ出動していない。
電話取材に応じた難民は、ジェベルに駐在する国連平和維持活動の部隊について「あの隊員たちは、戦車と共にここにいるだけだ。銃を撃つことすらしない」と話した。男性は目撃情報として、PoCの敷地内で幼い少女が砲撃を受けたり、二人の成人が頭部に流れ弾を受けたりした現場に居合わせたと語った。
電話中にも、男性の背後から大きな爆音が聞こえていた。「あれが着弾した砲弾の音だ。UNMISSの施設のちょうど向かい側だった」
国連の派遣団は10日、「暴力の再燃に激しい憤りを覚える」と表明し、戦闘によって首都ジュバの市民が「重大な」被害を受けていると警告。「ジュバでUNMISSが運営する施設は2か所とも、小型の武器や重火器による攻撃を受けた」と声明を発表した。