インドで輝く中小企業、大手の苦戦尻目に好業績
6月10日、ロハン・シャルマ氏にとって、ビジネスはかつてないほどに好調という。売り上げが急増しており、受注高はこの1年間にほぼ倍になった。写真はインド西部ベンガル州の州都コルカタで列車に荷物を運搬する模様。昨年2月撮影(2016年 ロイター//Rupak De Chowdhuri)
ロハン・シャルマ氏にとって、ビジネスはかつてないほどに好調という。インド西部のグジャラート州にあるシャルマ氏の自動車部品会社「バギラータ・コーチ・アンド・メタル・ファブリケーターズ」では、売り上げが急増しており、受注高はこの1年間にほぼ倍になった。
この会社は最近、新規機械設備に12万ドル近くを投資。生産能力を拡大するために今年、最大120万ドルを支出する計画。
これはインド経済にとって心強いサインだ。インドでは、大企業のバランスシート悪化に加え、不良債権の急増を背景に細っている銀行融資への過度の依存が、民間投資がなかなか増えない要因になっている。
シャルマ氏は、自分の会社にはこうした制約はない、と胸を張る。同氏の会社は無借金で、生産能力拡大も内部資金でほぼ賄えるという。
インド準備銀行(中央銀行)の調査結果を見ると、シャルマ氏が特殊なケースではないことが分かる。24万社近い未上場の中小企業を対象に、中銀が実施した年次調査によれば、中小企業は利益の伸びなどが大企業よりはるかに高水準であり、インド経済の原動力になっている。
インドには4500万社以上の中小企業があるとされ、国内総生産(GDP)の40%近くに相当する。その大半は未上場であり、利益の伸びはここ3年間、上場企業をアウトパフォームしている。
中銀調査によると、中小企業の売上高は2014/15年、12%増加した。これに対して上場大企業の増収率は1.4%にとどまった。
また、営業利益については、中小企業では16.6%増となり、上場企業の3倍のペースで増加。中小企業は総貯蓄も増やしている。