最新記事

イラク

【マップ】ISIS掃討作戦、ファルージャ奪還後の攻略目標

2016年6月29日(水)16時30分
ジャック・ムーア

Thaier Al-Sudani-REUTERS

<米軍主導の有志連合から援護を受け、イラク治安部隊がついに西部の都市ファルージャをISISから奪い返した。残るはシリアのマンビジ、ラッカ、そしてISIS指導者が潜むとされるイラクのモスル。勢いの衰えるISISを追い詰めることができるか> (ファルージャ市内で奪還を喜ぶイラク兵、6月27日)

 イラク西部の都市ファルージャに再び、イラク国旗がはためいた。同国治安部隊は26日、ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)の手からファルージャを完全に奪還することに成功した。これでISISはまたひとつ「領土」を失った。

【参考記事】イラク政府のファルージャ奪還「成功」で新たな火種

 わずか1年ほどの間に、イラク政府はISISに支配されていた3つの主要都市を奪い返したことになる。サラハディン州の州都ティクリート、アンバル州の州都ラマディ、そして同じくアンバル州のファルージャだ。

 奪還作戦の成功は、米軍主導の有志連合からの援護なしには実現しなかった。有志連合はイラクとシリアで対ISIS包囲網を敷いており、この戦いにおけるカギとなってきた。では、次はどこが焦点となるだろうか。

ファルージャの安定化

 何はともあれ、ファルージャの安定が先決。ISISに再び支配されないよう、有志連合はアンバル州に全ての当事者や住民を呼び戻し、安定化を確保する手助けをしなければならない。この先はイラク人自身の手で行うべきだが、戦火を逃れてファルージャを脱出していた何万人もの市民を、市外の砂漠に設けられた避難キャンプから市内に呼び戻すため、イラク政府は大掛かりな復興事業に着手する必要がある。

 そのため、有志連合は今後も戦略的支援を行う必要があるかもしれない。ISISが反撃してくるなら、空爆も必要になってくるだろう。2014年6月に「カリフ(預言者ムハンマドの後継者)」を奉じるイスラム国家の樹立を宣言したISISは、このところ実効支配地域の縮小を余儀なくされているが、今も仕掛け爆弾や待ち伏せ攻撃、自動車を使った自爆テロなどの手段を有し、地上軍にとって大きな脅威となっているからだ。

【参考記事】イラク:モースル陥落の深刻さ

「マンビジ・ポケット」

 有志連合は、シリア東部の都市マンビジでISISと戦うシリア民主軍――アラブ人とクルド人の合同部隊――を援護している。激戦地となっているこの一帯は「マンビジ・ポケット」と呼ばれている。シリア民主軍はマンビジを包囲後、市内に進攻。有志連合による空爆と米特殊部隊の顧問200人がついており、ここが次に有志連合が制圧する都市となりそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 10
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中