G7サミット政策総動員を確認、日本はアベノミクスでフル加速
世界経済の認識や具体的な対応では最後まで溝を埋めきれず
5月27日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は2日目の同日、首脳宣言を採択して閉幕した。写真は志摩市で撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は2日目の27日、首脳宣言を採択して閉幕した。世界経済の将来的な下方リスクに警戒感を示し、全ての政策を総動員することを確認。議長国会見で安倍晋三首相は、日本はアベノミクスのエンジンを最大限吹かしていく決意を表明した。ただ、オランド仏大統領が経済危機の中にはないと発言するなど、宣言とは裏腹に協調の意思の弱さが目立つサミットになった。
首脳宣言では、経済分野での諸課題に共同で対処することで一致し、世界経済の成長を「喫緊の優先事項」と位置付け、成長実現へ「均衡ある政策の組み合わせを用いる」とした。
焦点の1つだった財政出動については、機動的な財政戦略の実施と構造政策を果断に進めるとし「G7が協力して取り組みを強化することの重要性について合意した」と明記した。
安倍首相は会見で、世界経済の最大のリスクは新興国経済に陰りが見え始めたことであり「最も懸念されるのは世界経済の収縮である」と指摘。そのうえで「危機に陥るリスクに直面している」と語った。
こうした状況に対応するため、日本はアベノミクスのエンジンを最大限に吹かしていく決意であると述べた。
複数の関係筋によると、安倍首相は来年4月の消費増税を再延期する方針を固め、近日中に麻生太郎副総理兼財務相らと会談し、最終的な調整を行う。
安倍首相はこの日の会見で、消費税の問題は参院選までに対応を明らかにすると述べたものの、現時点で結論を出しているわけではないと語った。
ただ、世界経済の認識や具体的な対応では、最後まで溝を埋めきれなかった面もある。フランスのオランド大統領はサミット終了後の会見で、現在は経済危機ではなく、2008年の「真の危機」から金融は安定し、警戒システムは改善したとの見解を表明した。
また、オバマ米大統領は26日の会見で、米国の景気回復を維持する必要があるとの見解を示すとともに、欧州は進展が見られ始めていると指摘。世界経済が足元で深刻な危機に直面しているとの見方とは、明確は距離を置く認識を表明していた。