日本企業「稼ぐ力」に円高・資源安の試練、減益下での先行投資が課題
構造改革と投資戦略で企業は筋肉質になり逆風下でも投資が可能に
5月12日、過去最高益を更新する企業が相次いだ2015年3月期とは打って変わって、今週ピークを迎えている決算発表では輸出企業を中心に減益予想が目立っている。2013年2月撮影(2016年 ロイター/Shohei Miyano/Illustration/File Photo)
過去最高益を更新する企業が相次いだ2015年3月期とは打って変わって、今週ピークを迎えている決算発表では輸出企業を中心に減益予想が目立っている。背景にあるのが前期よりも円高水準にある為替レートや資源価格の低迷だ。
だが、企業の間には、厳しい見通しを持ちつつも、これまで続けてきた収益構造の改善を踏まえ、新たな成長への先行投資を推し進める動きもある。
潮目は変わった
SMBC日興証券の集計によると、6日までに発表したTOPIX銘柄の2016年3月期の営業利益は前年比11.5%増と拡大しているが、2017年3月期は同9.7%の減益予想となっており、業績拡大に急ブレーキがかかっている。
足を引っ張る大きな要因が足元の急激な円高だ。日銀の3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、2017年3月期の大企業製造業の想定為替レートは1ドル117.46円。120円前後だった前期から円高方向に振れており、これまで追い風だった為替レートは逆に収益の下押し圧力として働く。
「今年に入って大きく潮目は変わった」──。トヨタ自動車<7203.T>の豊田章男社長は11日の決算会見でこう指摘した。「これまでの数年間の決算は為替による追い風参考記録の部分が多かったが、風がやんだことで自分たちの等身大の姿が見えてきた」と述べ、真の実力が試されるフェーズに入ってきたとの認識を示した。
トヨタの2017年3月期営業利益予想は前年比40.4%減の1兆7000億円と大幅減となる見通し。前期よりも円高水準にある為替レートが収益を圧迫、予想通りなら東日本大震災やタイ洪水の影響があった2012年3月期以来5年ぶりの減益となる。前提為替レートは1ドル105円(前期120円)、1ユーロ120円(同133円)で、これらの変動が営業利益を9350億円吹き飛ばす計算だ。