北朝鮮党大会を中国はどう見ているか?
36年ぶりに開催された朝鮮労働党の党大会 Damir Sagolj- REUTERS
36年ぶりに開かれた朝鮮労働党の第7回党大会を中国はどう見ているのか。第6回党大会における中国の対応や、昨年、習近平総書記の名義で金正恩第一書記に出した祝電との比較などを通して中朝の現状を考察する。
第6回党大会(1890年)では華国鋒が長文の祝電
朝鮮労働党の第6回党大会が開かれたのは1980年10月で、そのときには中国共産党の代表団が参加している。さらに当時の中国の最高指導者であった華国鋒が中国共産党中央委員会主席(現在の中共中央総書記)の肩書で長文の祝電を送っている。
その文字数は1300文字におよび、中朝関係の緊密さと重要性を絶賛している。
たとえば、
●中朝両党と中朝人民は反帝国主義の戦の中で手を携え、血で固めた偉大なる友誼を形成してきた。
●社会主義革命と建設の中で互いに助け合い非常に緊密で友好的な協力関係を築いてきた。
●中国共産党は偉大なる中朝友誼を比類なく重視し、その継続と発展に、いかなる努力をも惜しまない。
●今後も世界にどのような波風が立とうとも、中国共産党と中国人民の、朝鮮労働党と朝鮮人民に対する支持と団結は永久に変わらない。
などである。
第7回党大会に対する中国の祝電
それに比べて、5月6日から開催された朝鮮労働党第7回全国代表大会(第7回党大会)に対して中国が送った祝電の文字数は254文字と非常に短い。しかも「中国共産党中央委員会(中共中央)」名義で送っているだけで、中共中央総書記である「習近平」の個人名はない。
内容も「大会の成功を祈る」が中心で、中朝両国の友誼に関しては、「かつての指導者たちが育ててきたものだ」とし、「地域の安定と世界平和のために貢献することを祈る」としている。
1980年の時のような熱気はなく、むしろ「地域の平和を乱すなよ」という内心の言葉を読み取ることができる。
もちろん代表団は送っていない。
もっとも国連安保理による経済制裁中でもあるので、出席を拒否される可能性を恐れたのか、北朝鮮側からも招聘状を出していないようだ。1980年の時は118カ国の代表が第6回党大会に参加している。
習近平総書記が昨年出した祝電とのギャップ
2015年10月10日は朝鮮労働党建党70周年記念であった。それに先立ち、10月9日に習近平総書記が、個人名を銘記して金正恩第一書記に祝電を送っている。
それだけではなく、チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員会委員7名)の党内序列ナンバー5の劉雲山・中共中央書記処書記を祝賀式典に派遣したほどだ。