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ISISが3500人のNY「市民殺害リスト」をアプリで公開

無差別の市民を選び出し、身近な標的を殺せと支持者に命令する新戦略の始まりか

2016年5月11日(水)19時30分
ジャック・ムーア

いたずらではない FBIとニューヨーク市警がリストに載った市民全員を訪ねて警告 Dado Ruvic-REUTERS

 もしISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)があなたの名前と住所、電話番号を知っていて、殺せと支持者に指示していたとしたら、毎日どんな気分だろう。

 暗号化されたメッセンジャーアプリ「テレグラム」で数週間前、ランダムに選ばれたように思えるニューヨーカー約3500人のリストが流された。「ユナイテッド・サイバー・カリフ国」と自称する、ISISとつながりのあるハッカー集団の仕業だ。リストに載ったのはブルックリン住民ばかりだった。

【参考記事】ツイッターを締め出されたISISの御用達アプリ

 いたずらではない証拠に、FBIとニューヨーク市警がリストに載った市民全員の元を訪れて、脅迫について知らせた。3500人のニューヨーカーが今まさに、死の脅迫を受け、毎日を過ごしている。

 本誌はこの殺害リストへのアクセスを入手した。リストに付されたメッセージ(下)には、「ニューヨークとブルックリン、ほか数都市の最も重要な市民のリスト。奴らに死を。奴らを黙らせろ」とある。

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メッセンジャーアプリ「テレグラム」でISISが公開した殺害リストに付けられたメッセージ(Michael S. Smith II/Kronos Advisory)

 リストには古くて実在しない電話番号や住所も少なからず含まれていたが、多くが本物の情報だった。ハッカーたちがどのように個人情報を手に入れたかは不明だ。

 ISISは過去にも、ジェームズ・クラッパー米国家情報長官、ジョン・ブレナンCIA長官、そして次期米大統領となる可能性があるヒラリー・クリントンといった人物の公になっていない情報を暴露したことがある。

 今回のリストは、ISISが2014年に世界的な脅威となって以来、最大の一般市民の個人情報流出だ。彼らの戦略が市民を標的とする方向に変わったことを物語っている。

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