自動運転車の実用化はシンガポールにお任せ
小さな島国が米日独を押しのけて世界初の商用自動運転を実現できそうな理由
世界の実験場 植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」で行われた試験走行 Edgar Su-REUTERS
東南アジアの小さな島国シンガポール。ここの人々はテクノロジーが大好きだ。同時にこの豊かな都市国家は、強権的な政府が厳しいルールを住民に強制できる国でもある。
自動運転車の開発と普及にとって、これほど好条件に恵まれた場所は世界中にほとんどない。実用化を目指す競争でアメリカを出し抜く可能性もある。
近い将来、自動運転が人々の暮らしを一変させることはほぼ間違いない。問題はそれがいつかだ。日産自動車やゼネラル・モーターズ(GM)など大手メーカー7社は、20年までに自動運転車を発売すると発表している。全米都市連盟の調査によれば、30年までに自動運転車は「日常的な」風景になるという。
自動運転の研究で世界のトップを走るのは、米カリフォルニア州のシリコンバレーだ。グーグルは既に公道で約150万マイル(約240万キロ)の走行実験を実施。ただし、カリフォルニアで自動運転車による通勤が今すぐ実現するわけではない。
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シンガポールはアメリカの技術を拝借して、競争に勝つつもりらしい。政府は研究補助金と法制度を味方にアメリカ人科学者を引き付けようとしている。
「私たちはシンガポールに懸けている」と言うのは、自動運転車のソフトウエア開発を行うヌートノミーのダグ・パーカーCOO(最高執行責任者)。同社はマサチューセッツ工科大学(MIT)のプロジェクトから誕生した新興企業だが、オフィスをシンガポールに置いている。パーカーによれば、「自動運転車を大規模に採用する最初の国」になると確信したからだ。
政府主導ならではの強み
ヌートノミーは今後1~2年以内に、公共交通向けのロボット運転車を完成させたいと考えている。もし実現すれば、世界初の商用自動運転車になりそうだ。「シンガポールは経済強国だが、同時に小さな国でもある」と、パーカーは言う。「彼らは対応が早い。アメリカ政府が法制化するのは難しいことも、彼らならできる」