三菱自、燃費不正の先行き見えず、グループからの支援は難航も
今後、東南アジアなど新興国での事業拡大にブレーキがかかる恐れも
4月22日、燃費不正の発覚で三菱自動車が新たな経営危機に直面する懸念が強まっていることが分かった。写真は4月21日、東京の三菱自本社前で(2016年 ロイター/Toru Hanai)
燃費不正の発覚で三菱自動車<7211.T>が新たな経営危機に直面する懸念が強まっている。2000年代前半のリコール(回収・無料修理)隠しの際、支援に動いた三菱グループの主力企業は業績が悪化しており、内部からは「今回支援するのは厳しい」との声も聞かれる。提携先の日産自動車<7201.T>やユーザーへの補償、対象車の買い取り、厳しい行政処分などが予想される中、同社の経営は先の見えない隘路に入りつつある。
該当車拡大と顧客離れ必至か
「かなりダメージは大きい」――。燃費不正の事実が明るみに出た20日、国土交通省で会見した三菱自の相川哲郎社長は、不祥事再発へのいら立ちと経営危機への不安をにじませた。
燃費を実際より良く見せる試験用データの不正が発覚したのは、13年6月から生産している軽自動車「eKワゴン」と「eKスペース」、日産の「デイズ」と「デイズルークス」の4車種、計62万5000台で、三菱自は20日午後、4車種の生産と販売を停止した。
eKシリーズは三菱自にとって国内販売の半数近くになる主力車種。軽自動車だけでなく、SUV(スポーツ型多目的車)の「パジェロ」や電気自動車の「アイ・ミーブ」など約10車種でも、少なくとも02年以降、国内法令とは異なる方法で燃費試験用データが測定されていたこともわかった。
同社は販売の約9割を占める海外市場向けの車も調査することを決めた。燃費不正の影響が国境を越えて広がり、強化してきた東南アジアなど新興国での事業拡大にブレーキがかかる恐れもある。
日産、協業見直す可能性も
燃費不正の対象車のうち、日産向けに生産している2車種は46万8000台と75%近くに上る。デイズは15年度の軽販売ランキングで3位に入る人気シリーズだけに、日産への補償は契約違反や販売機会損失などの点から高額になることも予想される。