最新記事

中国

パナマ文書、中南海に走る激震――劉雲山の息子・劉樂飛の巻

2016年4月8日(金)15時56分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

「パナマ文書」スキャンダル 渦中の法律事務所モサック・フォンセカの上海オフィス Aly Song-REUTERS

 今回はパナマ文書にあるチャイナ・セブンの一人、劉雲山の息子・劉楽飛を解剖する。彼は逃れられない。複雑な利権と腐敗関係の中、昨年すでに辞職に追い込まれている。中南海に走る激震の最も大きな震源地が見える。

劉楽飛の複雑な利権関係

(肩書を明示する必要がある場合以外は、ここでは敬称はすべて省略する。)

 1973年生まれの劉楽飛は、95年に中国人民大学で経済学を学んだあと、中国社会科学院の研究生院(大学院)で学び、工商管理で修士学位を取得。2004年から中国人寿投資管理部総経理を務め、2006年から中国人寿主席投資執行官(CEO)に就任している。

 ところで2012年の薄熙来失脚にともなって重慶市書記に任命された孫政才は、吉林省の書記であった時代(2009年~2012年)に、吉林省の大きなプロジェクトを中国人寿に発注し、劉楽飛に儲けさせている。そのお礼だろう、当時まだ中宣部(中共中央宣伝部)の部長をしていた劉雲山(劉楽飛の父親)は吉林省を訪問し、孫政才に会っている。この時から、劉雲山と孫政才の利権はつながっている。

 中国人寿をスタートとして金権世界でのし上がってきた劉楽飛は、その後「中信産業投資基金管理公司(中信資本)」傘下の投資会社「中心証券」などを掌握してアリババ集団の株主の一人となり、ボロ儲けをした。中信資本の運用資産90億元(13億2000万米ドル)。

 2014年9月20日(ニューヨーク時間19日)、アメリカのニューヨーク証券取引所に上場したアリババ集団には、劉楽飛以外に江沢民の孫で薄熙来と関係のあった江志成(博祐資本)や、元国務院副総理・曽培炎の息子・曽之傑(中信資本)、胡錦濤政権時代のチャイナ・ナインの一人で中央紀律検査委員会の書記だった賀国強の息子・賀錦雷(国開金融)、守旧派で薄一波と仲良かった元国務院副総理だった陳雲の息子・陳元、そして、あの温家宝元国務院総理の息子・温雲松(新天域資本)などが株主として参入していると、7月21日付の「ニューヨークタイムズ」が報道している(詳細は『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』)。

 その間、劉楽飛は元最高検察院検察長・賈春旺の娘・賈麗青と結婚している。これは不正摘発を逃れるための政略結婚だと言われたものだ。

習近平政権の反腐敗運動の網に引っ掛かる

 習近平政権が誕生してから、反腐敗運動が本格化し始めた。
実は胡錦濤政権の時から反腐敗運動は行っていたのだが、何と言っても集団指導体制の中で多数決議決をしようとするときに、チャイナ・ナイン(胡錦濤政権時代の中共中央政治局常務委員会委員9人)の構成メンバーが良くない。ほとんどが江沢民派によって占められ、胡錦濤が出す提案はほぼ毎回否決されて、身動きが取れなくなっていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

予想上回る関税、インフレ上昇と成長鈍化伴う恐れ=F

ワールド

「中国はパニックに陥った」、トランプ氏が報復措置は

ワールド

米ロ首脳による電話会談の計画なし、ロ特使の訪米後=

ワールド

原油先物8%急落、中国の米関税に対する報復措置で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 3
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 4
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 5
    大使館にも門前払いされ、一時は物乞いに...ロシア軍…
  • 6
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    地球の自転で発電する方法が実証される──「究極のク…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 10
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中