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汚職テメル副大統領にも弾劾手続き開始、ブラジル政界は混乱に拍車
政権中枢の二人が弾劾審査され、反ルセフ派も身動き取れない状態に
4月5日、ブラジル連邦最高裁は、下院に対して特別委員会を設置してテメル副大統領(写真右)の弾劾手続きを開始し、ルセフ大統領の予算会計操作疑惑について政権の一員として関与したかを調査するよう命令した。3月撮影(2016年 ロイター/ADRIANO MACHADO)
ブラジル連邦最高裁判所のマルコ・アウレリオ・メロ判事は5日、下院に対して特別委員会を設置してテメル副大統領の弾劾手続きを開始し、ルセフ大統領の予算会計操作疑惑について政権の一員として関与したかどうかを調査するよう命令した。
メロ判事の命令は今後、最高裁の総意として覆えされる可能性は残っている。それでも既に下院ではルセフ大統領に対して弾劾が妥当性を調査する委員会が立ち上げられ、早ければ今月半ばに弾劾の是非を問う採決が実施される見通しの中で、政治的な混乱に拍車をかける形になった。
ルセフ氏の弾劾が成立した場合、大統領権限継承順位第1位のテメル氏が就任する。ただそのテメル氏まで弾劾の対象となったことで、ルセフ氏を追い落として後釜にテメル氏を据えることを狙ってきた政治勢力にとって、見通しを立てることが難しくなった。ルセフ氏が弾劾に値すると採決されれば当然、テメル氏も「同罪」となってしまうからだ。
ジェトゥリオ・ヴァルガス財団の政治分析専門家、ソニア・フレウリー氏は「これでルセフ氏の弾劾に向けた動きはある程度鈍る。彼女の政敵は自分たちの戦略を考え直さなければならなくなる」と述べた。
一方でフレウリー氏は、最高裁がメロ判事の命令を撤回する可能性は小さいとみている。
ブラジル通貨レアルは、メロ判事の命令を受けて下げ幅を拡大。テメル氏が大統領になって市場により友好的な政権を樹立し、ブラジルを景気後退から救い出すとの投資家の期待は水を差された。
大統領権限継承順位第3位で、テメル氏と同じブラジル最大政党の民主運動党に属するクーニャ下院議長は以前、テメル氏の弾劾手続きに消極的な姿勢を示しており、地元メディアはクーニャ氏がメロ判事の決定に異議申し立てをする可能性があると報じている。