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コンプライアンス三菱自、91年から不正測定データを提出、燃費目標引き上げ繰り返す
燃費試験データの不正は、2000年に発覚し大問題になったリコール隠しのさらに以前から
4月26日、三菱自動車は、燃費試験用データの不正問題について、国が定める法令とは異なる方法でデータを測り始めた時期が1991年からだったと発表した。本社で会見する相川社長(中央)ら(2016年 ロイター/Thomas Peter)
三菱自動車<7211.T>は26日、燃費試験用データの不正問題について、国が定める法令とは異なる方法でデータを測り始めた時期が1991年からだったと発表した。対象車種数は調査中という。
20日の発表では、少なくとも2002年ごろからとしていたが、さらなる調査で25年前からだったことが判明した。不正の発覚を公表した軽自動車4車種に関しては、燃費の最も良いタイプの燃費目標を社内会議で繰り返し上方修正されていたことも明らかにした。
同社は同日、不正問題発覚を受けて実施した詳細な調査内容を国土交通省に提出し、不正の経緯や正しい燃費の再測定作業の進捗などに関して報告した。
報告後に記者会見した相川哲郎社長は、1991年から法令外のデータ取得方法を採用していた事実について「私自身、全く承知していなかった」と述べ、なぜ異なる方法を使い続けたのかは「第三者による調査に委ねる」としたが、「社内では長期間疑わず伝承された可能性がある」との見方を示した。
同社は20日、軽自動車「eKワゴン」など4車種計約62万5000台での燃費試験用データで不正があったことを公表。国が実施する燃費試験のために使う「走行抵抗値」と呼ばれるデータで、本来は中央値を国に提出すべきところ、意図的に有利な数値を出していた。さらに法令外の試験方法でデータを取得していたという。
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軽4車種の目標燃費は、11年2月当初は1リッター当たり26.4キロだったが、その後、社内会議で繰り返し引き上げられ、最終的には13年2月に29.2キロになったという。その後のモデルでも目標燃費に合わせて机上で算出し、申請していた。会見に同席した中尾龍吾副社長は「社員にプレッシャーがかかった」ことが背景にあるとみている。
中尾副社長は、不正発覚の軽の正しい燃費の確認を「5月の連休明けに提示したい」と話した。海外販売車両では、燃費データ改ざんの事実は「確認できていない」という。新車開発は継続しているが、燃費の再確認試験を優先するとしている。
相川社長は、三菱グループへの支援要請に関しては現時点で要請していないことを明かし、「問題の全容が解明されるまで、支援は要請できない」と述べた。
(白木真紀)