最新記事

日本経済

ファーストリテーリング5年ぶり営業減益、ユニクロ「通常価格を単純低価格に戻す」

「現代の国民服」ユニクロの売上低迷はアベノミクス失敗を意味するか?

2016年4月8日(金)21時14分

 4月7日、ファーストリテイリングは、2016年8月期の利益予想を(IFRS)を下方修正した。写真は都内で2013年4月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

ファーストリテイリング<9983.T>は7日、2016年8月期の連結業績予想(IFRS)を下方修正した。国内ユニクロ事業の低迷に加え、米国ユニクロ事業の不振などを織り込んだ。高級デニム「Jブランド」事業などで減損損失も計上する。営業増益予想は一転、5年ぶりに営業減益となる見通しとなった。

下方修正は、暖冬の影響で下方修正した第1四半期に続き今期2度目。

売上収益予想は前年比7.0%増の1兆8000億円で据え置いたが、営業利益予想は前年比27.0%減の1200億円と、従来の前年比9.4%増の1800億円から大きく引き下げた。当期利益は円高の影響も響き、前年比45.5%減の600億円(期以来予想は前年比横ばいの1100億円)とほぼ半減する見通しだ。

営業利益予想はトムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト19人の予測平均値1715億円を大きく下回る厳しい数値となっている。

上期に1.9%減となった国内ユニクロの既存店売上高は、下期に約4%増を計画、利益ベースでも改善を見込んでいる。だが、上期の落ち込みをカバーするまでには至らず、通期の営業減益は避けられない見通し。海外ユニクロ事業も通期営業減益を見込んでいるほか、赤字が続くJブランドでは約150億円の減損損失を計上する。この結果、グローバルブランド事業も含め3事業そろって営業減益となる見通しだ。

柳井正会長兼社長は会見で、不振が目立つ国内ユニクロ事業について「粗利益率の低下と経費のコントロールが課題」と指摘。経費削減の徹底に加え、経営スピードを上げるため組織改革を実施することを明らかにした。「人員は足りないくらいなので減らすことはない。組織の形を大幅に変える」という。

ユニクロが失速した原因に値上げがあったのではないかとの指摘に対しては「顧客ニーズを考えると、今の時代は価格と品質、ファッション性すべてが両立しないといけない」と説明。「1990円とか2990円とか単純なプライスに戻したい」と述べ、「できるだけ週末限定(のセール)はせずに、通常の価格をできるだけ低く売っていく」と戦略を見直す考えを示した。

一方、足元の消費動向について「決して良くなく、むしろ悪い。現状は給与があまり上がっておらず、モノは少し上がり始めているので、これはまずいのではないか」と厳しい見方を示した。

(志田義寧)

[東京 7日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明らかに【最新研究】
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中