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日本経済ファーストリテーリング5年ぶり営業減益、ユニクロ「通常価格を単純低価格に戻す」
「現代の国民服」ユニクロの売上低迷はアベノミクス失敗を意味するか?
4月7日、ファーストリテイリングは、2016年8月期の利益予想を(IFRS)を下方修正した。写真は都内で2013年4月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
ファーストリテイリング<9983.T>は7日、2016年8月期の連結業績予想(IFRS)を下方修正した。国内ユニクロ事業の低迷に加え、米国ユニクロ事業の不振などを織り込んだ。高級デニム「Jブランド」事業などで減損損失も計上する。営業増益予想は一転、5年ぶりに営業減益となる見通しとなった。
下方修正は、暖冬の影響で下方修正した第1四半期に続き今期2度目。
売上収益予想は前年比7.0%増の1兆8000億円で据え置いたが、営業利益予想は前年比27.0%減の1200億円と、従来の前年比9.4%増の1800億円から大きく引き下げた。当期利益は円高の影響も響き、前年比45.5%減の600億円(期以来予想は前年比横ばいの1100億円)とほぼ半減する見通しだ。
営業利益予想はトムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト19人の予測平均値1715億円を大きく下回る厳しい数値となっている。
上期に1.9%減となった国内ユニクロの既存店売上高は、下期に約4%増を計画、利益ベースでも改善を見込んでいる。だが、上期の落ち込みをカバーするまでには至らず、通期の営業減益は避けられない見通し。海外ユニクロ事業も通期営業減益を見込んでいるほか、赤字が続くJブランドでは約150億円の減損損失を計上する。この結果、グローバルブランド事業も含め3事業そろって営業減益となる見通しだ。
柳井正会長兼社長は会見で、不振が目立つ国内ユニクロ事業について「粗利益率の低下と経費のコントロールが課題」と指摘。経費削減の徹底に加え、経営スピードを上げるため組織改革を実施することを明らかにした。「人員は足りないくらいなので減らすことはない。組織の形を大幅に変える」という。
ユニクロが失速した原因に値上げがあったのではないかとの指摘に対しては「顧客ニーズを考えると、今の時代は価格と品質、ファッション性すべてが両立しないといけない」と説明。「1990円とか2990円とか単純なプライスに戻したい」と述べ、「できるだけ週末限定(のセール)はせずに、通常の価格をできるだけ低く売っていく」と戦略を見直す考えを示した。
一方、足元の消費動向について「決して良くなく、むしろ悪い。現状は給与があまり上がっておらず、モノは少し上がり始めているので、これはまずいのではないか」と厳しい見方を示した。
(志田義寧)