アルゼンチンが2002年のデフォルト以来の国際市場復帰、一方で法廷闘争は終わらず
新規起債によって債務和解交渉で置き去りにされた一部債権者からの新規訴訟も呼ぶ
4月13日、アルゼンチンは、10年余りも疎外されてきた国際金融資本市場についに復帰する。写真は議会前に貼られた「ハゲタカ禁止」の標識。首都ブエノスアイレスで3月撮影(2016年 ロイター/Marcos Brindicci)
アルゼンチンは、10年余りも疎外されてきた国際金融資本市場についに復帰する。同国の債券を熱心に欲しがる投資家が出てくるのは当然だが、それと同時に債務問題の和解交渉で置き去りにされたごく一部の債権者からの新たな訴訟も呼び寄せることになった。これはやや想定外の事態と言える。
一部の資産運用担当者は、最大で150億ドルと見込まれるアルゼンチンの起債で購入の機会が得られることに興奮を隠さない。
アルゼンチン政府も、2002年のデフォルト(債務不履行)に起因する問題で争っていた主要債権者と2月に和解を成し遂げたことで、この問題を早く過去の出来事にしたがっている。
昨年11月の選挙で当選した同国のマクリ大統領は、デフォルト債の再編を拒否していたホールドアウト債権者と呼ばれるグループとの和解交渉を熱心に進めてきた。このグループを率いているのは、ヘッジファンドのエリオット・マネジメント傘下のNMLキャピタルやアウレリウス・キャピタル・マネジメントなどだ。
こうした中でアルゼンチン政府の2つのチームは、ニューヨークとロンドン、ロサンゼルス、ボストン、ワシントンで今週投資家向け説明会を開き、5年、10年、30年の国債のプライシングで探りを入れた。
現時点で伝えられているところでは、アルゼンチン側が提示する利回りは7.5─8.5%になる可能性がある。ただ一部の投資家は、大きな関心を集めるには最低8%、できるなら9%ぐらいの利回りが必要だとの見方を示した。
但し書き
しかし主要債権者と和解したからといって、アルゼンチンの法廷闘争がすべて終わったわけではない。
債務問題の調停人を務めるダニエル・ポラック氏によると、総額80億ドル強の弁済請求のうち、和解の基本合意が得られたのは全体の約9割だという。