最新記事

日本経済

安倍政権の経済対策、消費刺激策と成長戦略の2本柱の公算

伊勢志摩サミットで世界経済への貢献を旗印に歳出増にカジを切り替える可能性も

2016年4月3日(日)15時15分

3月29日、2016年度予算が成立し、政府は足元で弱さが見える消費動向を視野に、経済対策の具体的な検討に入る。短期的な消費刺激策と、中長期的な視点に立った成長戦略で構成された政策パッケージを打ち出す見通し。写真は都内のビル、16日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

 2016年度予算が成立し、政府は足元で弱さが見える消費動向を視野に、経済対策の具体的な検討に入る。短期的な消費刺激策と、中長期的な視点に立った成長戦略で構成された政策パッケージを打ち出す見通し。

 5月末の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)では、各国と財政出動に関して議論し、世界経済への貢献を旗印に歳出増にカジを切り替える可能性も出てきた。

増税判断、カギ握る消費動向

「消費増税をする、しないの条件など政府にはない。経済が今、どういう状況なのかが問題だ。マスコミもきちんと説明してほしい」とある政府関係者は述べる。この関係者も含めた複数の政府関係者は消費停滞の動向が、消費増税判断のカギを握るとしている。

 23日の月例経済報告では、消費の弱さを主因に景気判断が5カ月ぶりに下方修正された。翌日の経済財政諮問会議では消費喚起策が必要だとして、民間議員らから踏み込んだパッケージが示された。

 安倍晋三首相が開催した「国際金融経済分析会合」では、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大学教授(プリンストン大名誉教授)が、同会合後に記者団に対し「2─3年は収支を気にせず財政出動すべき」と表明。消費喚起策には、海外の学識経験者からもお墨付きを得た形だ。

経済対策は短期・長期の組み合わせで

  政府・与党内で議論されていた景気対策について、政府関係者の1人は「インフラ整備も含む短期的な景気刺激策と、成長戦略を強化する中長期的対策のパッケージ型になりそうだ」としている。

 諮問会議で民間議員らが示した政策パッケージには、従来からの政策の焼き直しも含めて、様々な政策が網羅されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:豪が子どものSNS利用禁止を計画、「孤立

ビジネス

利下げ急ぐ必要なし、インフレ率2%回帰に向け=アト

ワールド

ハマス最高指導者後任、ガザ地区外から選出か シンワ

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P最高値、ネトフリとハイテ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
2024年10月22日号(10/16発売)

米大統領選を揺るがす「オクトーバー・サプライズ」。最後に勝つのはハリスか? トランプか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    ついにイスラエルが地上侵攻を開始...それでもレバノ…
  • 6
    国立科学博物館『鳥 ~ゲノム解析で解き明かす新しい…
  • 7
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…
  • 8
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 9
    メーガン妃とヘンリー王子の「王室離脱の舞台裏」を…
  • 10
    「イランは無防備」「50年に1度の大チャンス」...中…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思っていたが......
  • 4
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 5
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    性的人身売買で逮捕のショーン・コムズ...ジャスティ…
  • 8
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 10
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中