最新記事

軍備

中国、ジブチに海外初の海軍基地建設で異例の「友好アピール」

軍事機密をあえて情報公開することで国際社会の懸念払拭を狙う

2016年3月28日(月)19時00分

3月24日、中国は、アフリカ東部ジブチに建築中の海外初となる海軍基地について、その目的は地域の安全と発展への貢献と説明することで、同国の軍拡主義を懸念する国際社会に対して異例の「友好アピール」に打って出ている。写真はマルタで歓迎を受ける中国海軍のフリゲート艦。2013年3月撮影(2016年 ロイター/Darrin Zammit Lupi)

 中国は、アフリカ東部ジブチに建築中の海外初となる海軍基地について、その目的は地域の安全と発展への貢献と説明することで、同国の軍拡主義を懸念する国際社会に対して異例の「友好アピール」に打って出ている。

 このようなメッセージは、南シナ海において重要な海上貿易路の領有権を主張し、アジア近隣国や米国の怒りを買う、同国の好戦的な態度とは全く対照的だ。

 中国は、海外基地などを通して軍事領域を拡大する米国型の「覇権」は追求しないと繰り返し主張している。

 だが、実際には、まさにその通りの行動をとっているようにも見えるため、中国政府はジブチ基地の根拠について静かに説明し、国営メディアを通じて同国の意図を懸念する向きに対応している。

 ジブチの基地について中国の当局者から話を聞いたという西側のある外交官は、「エチオピアの海洋進出を助けるための、『一路一帯』戦略の一環だと中国は説明している」と、中国のシルクロード構想に言及してこう述べた。

 同構想の狙いの一つに、中国経済の押し上げや世界各国との結び付きに寄与するであろう大陸間の通商路を開拓することがある。

 中国メディアによれば、総工費40億ドル(約4500億円)の鉄道建設は、エチオピアの首都アディスアベバとジブチにある中国が投資した新しい港をつなぐ。同港には軍事施設が置かれる予定だという。

 中国からこの計画について話を聞いたという別の外交官は、普通なら隠したがる中国政府が同計画にある程度の透明性をもたらそうしているのは「異例」な動きだと指摘する。

 「中国は脅威と見られたくないのだろう」と、この外交官は語る。

警戒するインド

 この件に関し、ロイターは中国国防省から長い返答を書面で得た。それによると、「関係諸国や国際機関」にジブチについて意図することを伝えたとし、ジブチに置く施設の主な目的は、海賊対策や人道・平和維持活動のための補給であると改めて強調した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏側近、今週ウクライナ訪問=ゼレンスキー大

ワールド

米の対外援助凍結、ロシアの戦争犯罪容疑捜査に暗雲

ワールド

ガザ停戦調停団、合意決裂を懸念 エジプト外相は米国

ワールド

トランプ氏、ガザ住民の帰郷認めず「恒久居住地検討」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「だから嫌われる...」メーガンの新番組、公開前から大炎上の納得理由
  • 2
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポーランドで発見
  • 3
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大反発を買う...「イメージアップを図るため」
  • 4
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 5
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 6
    36年ぶりの「絶頂シーン」...メグ・ライアンの「あえ…
  • 7
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 8
    ウクライナ戦争終結めぐる「見返り要求」に、ゼレン…
  • 9
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 10
    駆逐艦から高出力レーザー兵器「ヘリオス」発射...ド…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 7
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 8
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 9
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 10
    「嫌な奴」イーロン・マスクがイギリスを救ったかも
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中