最新記事

汚職

ブラジル、ルラ前大統領が入閣し資金洗浄疑惑の追及かわす

疑惑の人物をかくまう組閣に、各地でルセフ大統領への抗議デモ

2016年3月17日(木)18時10分

3月16日、ブラジルの内閣改造で、ルセフ大統領はマネーロンダリングなどの容疑で訴追されたルラ前大統領(写真)を官房長官に任命した。ルラ氏が入閣することになったことに対し、各都市で抗議デモが発生している。サンパウロで4日撮影(2016年 ロイター/Paulo Whitaker)

 ブラジルの内閣改造で、ルセフ大統領はマネーロンダリング(資金洗浄)などの容疑で訴追されたルラ前大統領を官房長官に任命した。ルラ氏が入閣することになったことに対し、各都市で抗議デモが発生している。

 首都ブラジリアでは大統領府や議会前で5000人以上が抗議デモを行い、警察が催涙スプレーで応酬する騒ぎとなった。サンパウロでも大規模なデモが発生している。

 ルラ前大統領はマネーロンダリングと汚職容疑で訴追されたが、入閣により今後は、ルラ氏に対する捜査や起訴には最高裁の承認が必要になり、捜査はより困難になる。

 財政支出拡大を訴えるルラ氏の入閣で、野党などからは政府の財政再建が頓挫する可能性を憂慮する声が出ている。また野党は、自身への弾劾とルラ氏の逮捕を回避しようと、ルセフ大統領がなりふり構わぬ行動に出ていると批判している。

 一方、汚職事件を担当する連邦判事は、録音されているルラ氏とルセフ氏の電話での会話から、ルラ氏に有利になるよう検察や裁判所に働きかけようとする様子がうがかえるとの見解を示した。

 16日の裁判所への提出書類で明らかになったものだが、実際に働きかけた証拠はないという。公表された会話の一部によると、ルセフ氏は「必要な場合」に閣僚に任命する文書の写しをルラ氏に送ることを申し出ていた。

 ルセフ大統領は、内閣改造でバルボザ財務相とブラジル中央銀行のトンビニ総裁は現職にとどまると明らかにした。またルラ氏については、財政状況の安定とインフレ抑制に注力すると述べた。

  

[ブラジリア/サンパウロ 16日 ロイター] -


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・ウクライナ、重要鉱物巡り協議継続 安保が焦点か

ワールド

日鉄によるUSスチール少数株式取得「容認」、トラン

ワールド

米、4月2日めどに自動車関税発動 トランプ氏が表明

ビジネス

米小売売上高、1月は0.9%減 山火事や寒波で約2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 2
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパーエイジャーが実践する「長寿体質」の習慣
  • 3
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン...ロシア攻撃機「Su-25」の最期を捉えた映像をウクライナ軍が公開
  • 4
    世界中の90%以上を生産...「半導体の盾」TSMCは台湾…
  • 5
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 6
    鳥類進化の長年の論争に決着? 現生鳥類の最古の頭骨…
  • 7
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 8
    駆逐艦から高出力レーザー兵器「ヘリオス」発射...ド…
  • 9
    終結へ動き始めたウクライナ戦争、トランプの「仲介…
  • 10
    「質のよい睡眠がとれている人」は「やや太り気味」…
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉妹で一番かわいがられるのは?
  • 4
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 5
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 6
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 7
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 8
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景…
  • 9
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポ…
  • 10
    「だから嫌われる...」メーガンの新番組、公開前から…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中