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消費税消費増税「誤った方向」、国際金融経済分析会合で米教授が進言
ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ教授の進言は増税延期へ向けたシナリオか?
3月16日、政府は第1回の国際金融経済分析会合を開いた。会合に招かれたジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は、「消費税率の引き上げは、日本経済を誤った方向に導く」とした上で、増税はすべきでないと首相に伝えたことを明らかにした。(2016年 ロイター/Yuya Shino)
ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は、16日の国際金融経済分析会合の初会合で、持続的な経済成長に慎重な見方を示した。消費税率10%への引き上げについては「日本経済を誤った方向に導く」とし、安倍晋三首相に対し、2017年4月の増税を見送るべきと進言したことを明らかにした。
会合出席後、官邸内で記者団に語った。世界経済の現状について、スティグリッツ氏は「決して良好とは言えない。16年の見通しは15年よりも視界が悪い」との認識を示した。
リーマン・ショック以降の金融危機から世界経済を成長に導いた中国については「深刻な経済減速となりそう」と指摘、「欧州と米国では中国経済の減速を埋め合わせることはできない」と語った。
こうした現状を踏まえ、17年4月の消費増税には否定的な見方を示し、「日本は財政刺激策に焦点を当てるべき」として緊縮財政からの脱却が必要と強調した。
「政治判断」に影響も
政府は、今後も有識者を招いて世界経済の分析会合を開催する方針で、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)までに予定している5回以上の会合を通じ、経済安定化に向けた協調策を打ち出したい考え。増税判断を柱とする国内の政策運営とは一線を画しているものの、政府・与党内では、議論の結果が消費増税をめぐる政治判断に影響するのではとの見方も出ており、スティグリッツ氏の発言は「増税延期派」に勢いを与えそうだ。
次回会合となる17日はデール・ジョルゲンソン米ハーバード大教授と岩田一政・元日銀副総裁、22日にはポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授をそれぞれ招き、経済情勢について意見を交わす。
(梅川崇 編集:山口貴也 編集:山川薫)