クリントン氏がミシガン州でまさかの敗北、貿易自由化問題が今後リスクに
自動車産業が拠点を置くミシガン州の民主、共和両党予備選における出口調査でも、自由貿易への疑念が広がっていることが示され、サンダース氏とトランプ氏の勝利につながった。
ジャーディング氏は「クリントン氏は選挙序盤で中道姿勢を維持しようとする根本的な間違いを犯した。この選挙戦で、中道は存在しない」と指摘した。
わかりにくい姿勢
ミシガン州は1980年代以降ずっと、外国企業との競争激化で打撃を受けてきた。
さらにリベラル系のシンクタンク、米経済政策研究所(EPI)の試算では、環太平洋連携協定(TPP)が実施されれば、ミシガン州の雇用の5%が失われる。これは全米の州で最も高い比率になるという。
同州の代用教員、ゲーリー・ハンリー氏は、賃金が上がらない責任の一端はクリントン氏にあると考えており、その理由として夫のビル・クリントン氏が大統領だった1990年代にNAFTAが発効したことを挙げた。
ハンリー氏は「(ヒラリー)クリントン氏は受け身のファーストレディではなかった」と述べた。
クリントン氏の貿易に関する姿勢は、トランプ氏やサンダース氏に比べるとわかりにくい。ファーストレディとしてNAFTA成立に関与しながら、上院議員時代には中米地域との自由貿易協定に反対票を投じたかと思えば、オバマ政権の国務長官としては日本やベトナなどとのTPP交渉を支援してきた。
そして大統領候補に出馬した後で、TPPの最終協定文書を見ると米国の労働者保護が十分ではないとして実施に反対すると発言している。
選挙戦でクリントン陣営を取り仕切るロビー・ムック氏は9日、記者団に対して貿易問題でクリントン氏がスタンスを修正する計画はないと語った。
(Andy Sullivan記者)