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メディア政権批判を展開していたトルコの有力紙、政府管理下に置かれ一転大統領寄りに
抗議する市民らが新聞社に押し寄せ、警察の強制排除が行われるも紙面では触れられず
トルコ政府に批判的だった有力紙ザマンが5日、政府管理下に置かれたが、翌6日の同紙記事は、一転してエルドアン大統領におもねる論調となった。写真は新聞社前で警備用バリアを設置する警官(2016年 ロイター/Osman Orsal)
トルコ政府に批判的だった有力紙ザマンが5日、政府管理下に置かれたが、翌6日の同紙記事は、一転してエルドアン大統領におもねる論調となった。
裁判所が同紙を政府管理下におくよう求めた検察の訴えを承認したことから、4日夜に警察が立ち入り、同紙を制圧した。
同紙は、大統領と対立する米国在住のイスラム教指導者ギュレン氏の影響下にあり、検察は、同紙の資金がギュレン氏に回されていなかったかを捜査しているという。
政府管理下で初の紙面となった6日の紙面では、エルドアン大統領が計画している「世界女性デー」の話題や、ボスフォラス海峡に建設中の架橋視察などが報じられた。
4日と5日には、ギュレン氏の支持者らが政府による管理に抗議して同紙のオフィス周辺に集まり、警察が催涙ガスや放水を使用する事態となったが、この出来事については報道されなかった。
トルコは欧州連合(EU)加盟交渉中で、人権団体やEU当局者は、今回の措置は報道の自由に抵触すると批判している。
エルドアン大統領とダウトオール首相は、ギュレン氏が2013年に政権転覆を企てたとしている。
ザマン紙の編集員らは、大統領が首相だった2003─14年は支持の立場を取っていたが、大統領就任後、外交政策や、政府がギュレン氏の支持者経営の学校の閉鎖計画を打ち出したことから対立関係となった。